タイトル | : 伊達家の騎馬鉄炮 |
記事No | : 1028 |
投稿日 | : 2002/07/12(Fri) 00:17 |
投稿者 | : 河合 |
>人間魚雷回天@EEGさん
正直な話、伊達家の「騎馬鉄炮」については、ほとんどその実在を信じていません。実在した可能性が皆無とはいえないと思いますが、九分九厘なかっただろうと思います。
それでは、なぜ実在したという前提で記事を書いたのか。 実はそこには、よい子の夢を壊すような政治的な思惑があったのでした(^_^;。
あの記事を書くにあたっては、「騎馬鉄炮」の扱いについて編集部と協議しました。そしてまったく触れないのもどうかということになり、なんらかの形で言及するということで、存在を否定するか肯定するかは私に決定権が委ねられたのです。 つまり編集部の方針としては、執筆者間の主張の整合性はそもそも考えていなかったわけです。
で、私は考えました。 過去の「歴史群像」シリーズで、私は他の執筆者の持論との調整を行ったことがあります。そのときも編集部は、そこまで気を使う必要はありません、といっていたのですが、私としては気を利かせたつもりでした。 ところがこの大坂の陣の記事を執筆する直前、そのときの一件が某サイトに「勝手な引用」と断定的に書かれていたことを知り、私は「二度と他の執筆者の意見にすり合せたりするもんか」と心に誓ったばかりでした(笑)。 ですからこのときは、「伊達家の騎馬鉄炮はなかった」という誰もが書きそうなことは危険だから絶対に書くまい、という結論に達したわけです。 いまにして思えばそこまで意固地になることもなかったのですが、そのときは大人げなくそう決断してしまったのです(^_^;。
さて、実在を信じてはいないものの、では実在を完全に否定するだけの材料があるかといえば、実はそこまで確実な史料が存在しないことを私は承知していました。ないものをないと記録するわけがないですから、当たり前といえば当たり前すぎるくらいの話ですが(笑)。 そして屁理屈に屁理屈を重ねた結果、あの記事が完成します。ちょっとしたクイズを埋め込んで。
それが記事の中での徹底した「騎馬鉄炮」の否定です。 見た目だけの無用の長物、唯一の実戦で惨澹たる失敗をしでかし、記録に残せないほど無様な醜態を晒した部隊。そう描くことによって、私はあの「閉じた世界」でも「騎馬鉄炮」を否定して見せたわけです。 もうおわかりですよね。クイズの答えは、そんな不完全な部隊は「軍事的にも実在の可能性は低い」だったわけです。 もちろん、ストレートにそう書くこともできました。そこまで意固地になることもなかった、というのはそういう意味です。 とはいえ、私の記事はだいたいにおいてそうした「嘘」や「謎かけ」がひとつやふたつは入っているのが普通で、それがないと編集部から「面白くない」といわれるのが常ですから、そういうものだと思って楽しんでいただければありがたいな、と思っています(^_^;。
ま、そんなところでして、「実在しないものを実在したと書いた」つもりはありませんが、少なくとも「実在を信じていないものを実在したと書いた」わけですし、「実在した可能性が限りなく低いものを実在したと書いた」と指弾されて抗弁するほどの恥知らずでもありません。まったくその通りだと思います。
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