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タイトル連合軍と枢軸軍の戦力バランス
記事No3506
投稿日: 2009/04/05(Sun) 18:58
投稿者ぴょん
抽象的質問でごめんなさい。ASLを眺めていてふと思ったことです。昔からよく第二次世界大戦における連合軍は物量によって質に勝る枢軸軍を圧倒したように聞きました。ゲームにおけるパラメータなども(特にエポック系なんかは)そんな感じのような評価になってます。
しかしながら、エポック系の枢軸ひいきっぽい感じも「これが敗戦側?」という感じで気になるところであり、ASLの評価などは逆に質量ともアメリカ最強みたいな印象すらあります。
ケーブルTVなんかでアメリカ製作の戦史ものをみてたら日本軍は聞いてたより抵抗していた感もあるし、稚拙な戦略戦術という評もあるし、実際連合軍と枢軸軍の戦力バランスはどうなんでしょう?
そんな単純な構図で語れるものではないんでしょうけど、真実というより、詳しく語れる方の雑学チックなご意見を聞かせていただけたらと思います。

タイトルRe: 連合軍と枢軸軍の戦力バランス
記事No3507
投稿日: 2009/04/08(Wed) 22:47
投稿者AMI
参照先http://solger.sakura.ne.jp
こんばんわです。

エポック(レックカンパニー)のゲームについて言えば、歴史性よりも消費者が期待しているイメージを重視してデザインされているのではないでしょうか。

枢軸軍の方が質が優っていたという話に関してですが、枢軸軍の精鋭部隊が連合軍の平均的な部隊を打ち破った戦いを取り上げて比較すれば、確かにそうだと思います。そして、戦争前半の奇襲的な成功が無敵神話を形成したのと、アメリカの工業力には敗れたがそれ以外の部分では劣っていなかったと思いたい願望などが影響しているのではないかと私は思います。

タイトルRe^2: 連合軍と枢軸軍の戦力バランス
記事No3508
投稿日: 2009/04/10(Fri) 19:37
投稿者ぴょん
AMIさんこんばんは。お返事遅れてすみません。
「歴史性よりも消費者が期待しているイメージを重視してデザイン」、なーるーほーどー!わかり易くて的を射た表現ですね。初心者であった頃他のブランドに比べて馴染み易かった印象はその辺に起因するんですかね。
AMIさんのお考えだと連合国側が質量ともに勝っていたということでしょうか。ASLの評価が妙にアメリカ贔屓に感じたものですから(海兵隊のパラメータだとかジャイロスタビライザーのルールとかなんかも)、「願望」の観点からするとなんだか悔しい気がしますね(笑)。

タイトルRe: 連合軍と枢軸軍の戦力バランス
記事No3510
投稿日: 2009/05/21(Thu) 22:18
投稿者蛸壺社長
通りすがりの者ですが,私見を述べさせて頂きます。

1.まず前提として,お題の枢軸軍というのは主に日本軍,連合軍というのは主にアメリカ軍ともとれますが,「枢軸軍」「連合軍」という文言である以上,ドイツ軍,ソ連軍,イギリス軍を考慮します。
また,時間的特定もなされていませんので,一応大戦全期間を考慮します。

2.結論として,質の枢軸軍,量の連合軍という図式は,ドイツの戦いにおいては相当なものであると考えます。すなわち,レックカンパニーによる評価は単に市場戦略によるものではなく,適正評価という点でも妥当ということです。むしろ,AHやSPIのゲームの方が,ANZIOやERIC GOLDBERG'S KURSK等などもあるものの,アメリカ人の願望をユニット戦力等に影響させていると考えます。戦勝国民たるアメリカ人の「数にもの言わせて勝ったわけではないと思いたい願望」が表現されているのです。
近年になって,例えばクルスク戦についてソ連のプロバガンダによる虚構が明らかとなっているように,将来において,アメリカのプロバガンダも解明されていくような気がします。
他方,わが日本の戦いにおいては,残念ながら,戦争の大部分の期間において質量ともに劣勢であったと言わざるを得ないと考えます。

3.理由

(1)奇襲効果はそれほど大きなものではないこと
戦略的奇襲は,それは41年の,ドイツのソ連に対するものと日本のアメリカ,イギリスに対するものしかありませんが,全面戦争において戦闘に対する影響が数か月ももつことは有り得ません。むしろ,動員や軍需生産に対する影響の方が格段に大きいはずです。
この点,ソ連はドイツによる完全な奇襲を強調しますが,そもそもナチズムと共産主義は不倶戴天の関係にあること,ソ連は40年においてフィンランドとバルト三国に侵攻していること,当事者たるドイツ軍自体が見積もっていたより遥かに多くの師団を保有していたことからは,ソ連はある程度ドイツとの戦争を準備していたと考えるのが合理的です。そうだとすれば,戦略的奇襲の動員,軍需生産に対する影響もそれほど強調されるべきではありません。
また,イギリスはすでにドイツと交戦中であり,アメリカも,イギリスに対する武器貸与の大船団を自国駆逐艦で護送し,Uボートに撃沈されたものまである状況からは,開戦後速やかに総力戦体制へ移行することができたと言えましょう。
したがって,戦闘,動員,軍需生産の全ての面において,奇襲効果は開戦後数カ月で収束したと考えられ,それ以後の,すなわちドイツであれば42年以後の長期間において,奇襲効果を除いて戦力分析をすべきことになります。

(2)戦術は国家の最高機密であること
軍隊というのは,組織として実戦を経験することによって初めて,その能力が向上していくのです。平時における技術開発や演習も大切ですが,実戦を経験しなければ的外れになっていくリスクを抱えています。
この点ドイツ軍は,ポーランド軍相手といっても実戦を経験した上で西方戦役に臨んでいます。したがって,ポーランド戦後の歩兵師団の大増設による練度低下を考慮してもなお,今次大戦における実戦経験,すなわち戦術の獲得という効果を独占しているがゆえに,40年の時点において既に,平均として比較した場合に,イギリス軍に対して質の優位を確保していたと考えるのが合理的です。
もちろん,敵軍の戦術研究もなされますが,ドイツ軍の方も,41年以降も引き続きソ連軍相手にこの効果を獲得し続けていくわけです。


まだまだ続くのですが,多忙で時間がないのと,ちょっと疲れてきました。続きはまた投稿させて頂きます。