History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^6: 長期戦戦略?
投稿日: 2005/01/26(Wed) 22:16
投稿者ウィリー
参照先http://homepage3.nifty.com/minea/

おおむね了解出来たと思います。

簡単に2点触れてみましょう。

・ロイヤルネイビーvs独仏(伊)連合艦隊の対決は?

ロイヤルネイビーvs独仏伊連合艦隊。
ほぼ同戦力にはなりますから、そこそこ勝ち目はありそうに見えます。

が、中身を見るとそういう気分は吹き飛びます。
イタリア海軍は近代化の真っ最中でまともな戦力とは言い難く
(事実、開戦時には主力が改装中である始末)
フランス海軍も主力艦として当てになるのがダンケルク級ぐらいで
後は一次大戦の生き残りのおばあさんばっかり。
近代的海軍と言えるのは(皮肉にも)ドイツ海軍なのですが、
ノルウェー作戦で大打撃を受けていて、
シャルンホルスト級にポケット戦艦が頼みというのでは
正面から戦えるほどの戦力とはいえないでしょう。

おまけに、フランスの港はどれもこれもイギリス空軍の空襲圏内で
どれだけ防衛出来るか未知数(史実ではブレストのドイツ艦隊は
空襲につぐ空襲で事実上活動を封じられていた)。

これに、空母による索敵能力の高さ(航空機による索敵なら
真珠湾以前にでも考えられていた)と、ネルソン以下の
戦艦性能の優越を付け加えるとロイヤルネイビー側の
優勢は動かないでしょう。

勝ち目があるとすれば、やはり決戦より通商破壊戦です。
これでイギリスを逆封鎖して勝てれば、まあ、勝てるかな。ぐらいです。
でも、新世界の植民地をアメリカに切り売りして軍艦を輸入する
強引な手段がイギリスにある限り、封鎖合戦もイギリス有利に進みそうですね。

・まじめにフランスが勝つことを考えてみる。

思考実験として悪くないと思います。
目標は思い切って、フランス軍によるベルリン入城としてみましょう。

まず、長期戦はドイツ軍不利である事はあきらかです。
ですから、ドイツはすべてを一枚のカードに賭けた短期決戦を挑んでくるでしょう。
#ここまでは1918年からの類推です。

では、これをどう迎え撃つべきか?
1918年の教訓から考えれば、
「縦深防御で敵の攻撃を受け止めてから、疲弊した敵を正面から押しつぶす」
これが最適な戦術として出てきます。

では、どのくらいの縦深をとればいいのか?
1918年の進撃を考えると、おおむね50km程度の縦深があれば
ドイツ軍の攻勢は力尽き、連合軍は反撃に転じることが出来るわけです。

これを1914年基準で考えることにするなら、300kmの縦深を取る必要があります。

どちらの基準で考えるか?

史実の連合軍は18年基準を採用し、惨敗しました。
ドイツ軍が50kmを越えて進撃することを想定していなかったために、
ドイツ軍は戦線を50kmだけ食い破れば、なんの妨害もなく
連合軍の背後に回り込むことができたのです。

では、かわりに14年基準を採用したらどうか?
この場合、フランスの有力な予備軍はパリ周辺に展開し、
ドイツ軍を待ち受けることになります。
言い換えるなら、ディール計画でベルギーに突入していった部隊が
そのままパリ周辺に展開するわけです。

何が起きるでしょうか?
史実よりも鮮やかにオランダとベルギーを征服し
一次大戦の時よりも軽やかにフランス北東部をドイツは制圧します。
ここで、ドイツ軍は連合軍の反撃を受けることになります。
(まだフランス軍の主力は手つかずに残ってますから)
どちらが勝つか?それでもドイツ軍優位は動かないでしょうが
史実のような楽勝とはいかないでしょう。
実際、フランス軍の主力が崩壊した後の戦いで、
むしろドイツ軍は大きな損害を出しているぐらいなのです。
まして、主力相手に戦うというのであれば、
パリを制圧するためでさえ、どれだけ損害が出るか
分かったものではありません。

時間さえあれば、マジノ線の部隊や植民地の戦力を
フランス戦線に注ぎ込むことが出来ます。
アメリカから兵器を買い付ける事も出来ます。
電撃戦での即死さえなければ、
一次大戦とそう変わらない展開と結末が期待できるでしょう。


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