History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^12: 1940のフランス軍の戦略構想
投稿日: 2005/02/05(Sat) 23:10
投稿者山家

 すっかりレスが遅くなりました。今、手持ちの資料(といっても、雑誌がほとんどです。専門書は図書館で借りて読む主義なので)のほぼ全部を実家に置いての単身赴任中で、終業後に近くの市立図書館に行って専門書を読もうにも、残業の日々が続いて不可能という有様で、本当にすみません。記憶とネット情報に頼っていては、とんでもない誤謬を犯しそうで、週末に実家に帰省して、県立図書館に行く余裕は無かったので、実家の近くの市立図書館で調査してのレスになりました。

>その点は異論はありませんが、山家様の論旨は、仲介国は公正であるべきだ、の例示として、日本がソ連を選んだ、という論旨のように思えるのですが、その論旨だと、論旨を補強する根拠が矛盾している
ようにおもえるのですがどうでしょうか?

 ここは私の書き方に誤りを招く表現があったようでお詫びします。講和を締結するには、双方から公正と考えられる仲介国が基本的には必要である。そして、日露戦争当時において、米国が仲介国となったように、WWU当時において、日本は英米中等との戦争で講和する際には、ソ連が公正な仲介国になるとして期待していたが、その期待は後世から見れば誤っていた、と書けば、お分かりいただけるでしょうか。

>開戦直後、の点、どの時点からを意味しているかによりますが、一番一般的に、一応宣戦布告直後の時点と解釈しますと、独は全面通商破壊を行ってはいません。総統指令2号において、当面の戦時国際法順守をヒトラーは海軍に指示しています。3号においては、仏海軍に対する
戦闘禁止も指示しています。(出典-ヒトラーの作戦指導書・東洋書林)
> また、開戦直後の客船攻撃の件は、確か連絡不徹底による事故で、その艦長は何らかの譴責をうけたと記憶しています。いずれにしても、指示は除除に解除され、最終的には全面通商破壊戦となるのですか、それでも、すぐに全面戦争を独もためらっていた、という傍証になるかと思います。

 当時の戦時国際法において、1907年のハーグ条約の何条か、1936年の国際海軍条約の何条か、きちんと確認しようと調べたのですが、1日では調査が行き届きませんでしたので、歴史書からの孫引きになります。当時の戦時国際法において、敵国商船に対して攻撃を行う際には、潜水艦は浮上し、無電等で停船を命じ、停船後の商船に乗組員を派遣して、臨検を行い、戦時禁制品等を敵国商船内で発見したときにのみ、敵国商船を攻撃し、沈めることが認められていました。更に、商船の旅客は攻撃前に安全な所に避難させる義務が、潜水艦側にはあり、商船の船員は商船船体への攻撃後は更なる攻撃を加えることは禁ぜられ、潜水艦の乗組員は商船船員の助命に努めることも義務付けられていました。

 独海軍は、上記の戦時国際法をきちんと遵守していたのでしょうか。ヒトラーの総統指令が戦時国際法遵守の証拠とおっしゃられるのかもしれませんが、私の調べる限り、実際に遵守していたという証拠が見つけられませんでした。例の客船攻撃にしても、ミスに気付いたのなら、独潜水艦の艦長は速やかに救助活動を行わねばなりませんが、救助活動を行ったのでしょうか。更に言うと、9月5日には独海軍の潜水艦は更に5隻(内4隻は英船、1隻は仏船)の商船に攻撃を加えています。これらの際に、戦時国際法はきちんと遵守されたのでしょうか。仮に遵守されなかったとしら、それらは全て不幸な事故なのでしょうか。

 百歩譲って、上記のことが全て商船を軍艦と誤認等したことによる事故だったとします。しかし、当時の英仏の世論が、独がこのような攻撃を行ったことを黙って赦すでしょうか。英仏の対独世論が一遍に硬化したのは、上記の攻撃によるところが大きいのです。それは、丁度、真珠湾攻撃が、米国の対日世論を一遍に硬化させたようなものです。そして、英仏両政府共に、世論を無視できません。従って、商船攻撃がDASREICHさまのおっしゃるように、事故だったとしても、実際に行われてしまった以上、世論が講和を受け入れるというのは、極めて困難になっていたと思います。

> では山家様にお聞きいたしますが、停戦、あるいは戦争終結の講和交渉で両国の元首レベルが直接交渉した例がどのぐらいあるのでしょうか。山家様はミユンヘンを例示しておられますが、あれは講和交渉ではなく最初から国際会議の設定です。独仏の講和も、別にヒトラーがでてくる必然性はなく、ただ、ヒトラー個人の復讐心を満足させるためで、別に外相レベルでもすんだのではないでしょうか。

 日清戦争を例に挙げていますが、それ以外に幾つあるのか、ということでしょうか。そこまで、今日一日では調査が及びませんでした。しかし、一方が無条件降伏する、またはそれに準ずる(一方の提示した講和条件を丸呑みする等)場合には、直接交渉の必要は当然ありませんが、講和条件自体で揉める本件のような仏独講和の場合は、日清戦争のときのように、元首レベルの直接交渉が必要ではないでしょうか。


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