1998年5月23日に1918(XTR/国際通信社)のヴァリアント「プラン1919」をプレイしましたので報告します。
 私が同盟軍、SHAKE氏が連合軍でした。

 このヴァリアントは1918の西部戦線は膠着状態となり、1919年に連合軍がJ.F.C.フラーの提唱する突破機甲戦術「プラン1919」が発動されたら・・・という過程に基づいています。
 既に連合軍は戦車をはじめとする攻勢能力を備えており、当初(第4ターンよりゲームは開始されます。)より激しい攻撃を行うことが予想されます。同盟軍にとっての利点は、「1918」と異なり、自身の攻勢を行っていないので、消耗していないことです。

セットアップ時の情勢

セットアップ時の情勢

 第4ターン連合軍はSt.Mihielの防衛線を寸断し、他にもNancy付近及びReims付近で仏軍が、St.Quentin付近で英軍が大規模な突破をはかります。予想通り連合軍は戦車等の浸透移動可能な部隊を集中的に使用し、敵部隊の直接撃破よりも包囲して補給線を絶つことを狙っているようです。

 第5ターン、同盟軍は戦線を修復しつつ可能な限り補給を絶たれた部隊に救援部隊を向けて補給線を引きますが、それでもかなりの部隊に補給を繋ぐことが出来ず、あるいは救援部隊が危険にさらされるため断念し、相当な部隊を失います。しかし、英軍の攻勢正面では補給切れの部隊の救援がてら反撃を行い、惜しくも英軍の掃討には失敗しますが、それなりの打撃を与えることに成功しています。
 連合軍はさらに攻勢を続行、Verdan以東ではほぼ主要塹壕線を突破することに成功し、Reims付近での戦果を拡大することにも成功します。また、英軍は自己の後方に脅威を与えていた独軍突出部を排除する事に成功しています。

 第6ターン、同盟軍はVerdan以東の戦線構築を断念し、Strasbourgに拠点防御を図る他は、Metsを起点とするモーゼル川のラインに撤収します。この頃から敵戦車部隊の存在位置が有る程度分かってきたので、浸透攻撃が予想される地点とそうでない地点での防御態勢の縦深の幅がかなり異なるようになっています。
 連合軍は米軍が主体となってMetsを攻撃し陥落させますが、これにより大損害を受けてしまいました。このターンが終わった時点で仏軍・米軍が主体の戦線では完全にヒンデンブルクラインを突破し、英軍も主要攻勢地点でやはり突破を終えています。しかし、ベルギー近辺ではまったく前進できていません。

第6ターン終了時の情勢

第6ターン終了時の情勢

 第7ターン、同盟軍はLuxembourg CityとSedanに若干の防衛部隊を置く他はベルギーに主力を置くようになり、両者の間隙は非常に薄い戦線を張ることで一応の処置を置きました。
 米軍の分遣隊が機動力を生かしてLuxembourg City周辺で援翼運動を行うと同時に、主力はLuxembourg CityとSedanの間隙を分断すべく前進を続けています。仏軍はベルギーとの間隙を守っていた同盟軍に攻勢を行っています。St.Quentin付近で突破した英軍はこれまで西進して戦線の拡大を図っていましたが、このターンから北上を開始しはじめます。しかし、ベルギー国境にはまだ至っていません。

 第8ターン、同盟軍は前のターンと同様な対応を取ります。
 連合軍は各線線で攻勢をとり続けます。米軍は敵を撃破しつつ着実な前進を行っており、Strasbourgの包囲も行っています。仏軍はベルギーとの間隙を守っていた同盟軍の大半を撃破あるいは被包囲下に収めることに成功しています。しかし、英軍は強力な同盟軍の抵抗に遭遇しており、なかなか前進することが出来ません。

 第9ターン、同盟軍はLuxembourg CityとSedanで最後の防衛線を発動し、その他の部隊はベルギーに集中配備します。
 連合軍はSedanを占領しますが、Luxembourg Cityはまだ占領できていません。しかし、その命運は明らかでしょう。仏軍は独軍の掃討を終えつつあります。英軍はベルギー国境に迫りつつあります。

 第10ターン、同盟軍はLuxembourg Cityを放棄し、撤退を始めます。また連合軍の兵力が居なくなっていた南部に戦車部隊を登場させ、連合軍に分散を誘います。
 英軍は同盟軍にさらに攻撃を仕掛けるとともに仏軍を北上させています。ベルギー国境まであと一歩です。

 第11ターン、同盟軍はベルギー防衛に全力を挙げています。
 英軍は遂に国境の町Maubeugeを奪取し、ベルギー国境に接しました。仏軍は英軍の右翼から突破を狙っています。

 第12ターン、同盟軍はベルギーを固めました。
 英軍はLens付近で攻勢を発動、大成功を収め前進に成功します。しかし、その余の攻撃は枢軸軍に打撃を与えますが、あまり前進ができていません。仏軍は右翼でかなりの前進に成功、仮にこのままゲームが続けばかなりの圧力となったでしょう。Strasbourgを包囲していた部隊は兵力不足のためこれまで攻勢を行っていませんでしたが、このターン空軍の大規模な支援を受けて、攻勢を始めます。しかし、兵力不足の間はやはり否めず、攻勢は頓挫します。

 この時点で同盟軍はまだモラルを4保持しています。次ターンは同盟軍ターンですので、実質連合軍に挽回の機会はないので、これでゲームを終了することとしました。

ゲーム終了時の情勢

ゲーム終了時の情勢

 このヴァリアントは「プラン1919」をシミュレートするものです。インプットが固定されがちな一般の「シミュレーション」ゲームとは異なり、有る意味で最もシミュレーションの本質を突いていると言えるでしょう。
 ただし、「1918」の状況再現に特化している基本システムを受け継いでいるこのヴァリアントが、アウトプットを導く過程についてどれだけ「プラン1919」に相応しいのかは、正直言って私にはよく分かりません。しかし、今回のプレイで出たアウトプットが、あってもおかしくない結果であることは、一応の同意が得られるかと思います。

 ゲームとしてみれば、両軍とも攻勢・防御が堪能できた「1918」と異なり、このヴァリアントは連合軍の攻勢に終始しがちですから、やや「1918」の方が面白いのかもしれません。しかし、ここは新しいシチュエーションの提供を受けたことを素直に喜ぶべきでしょう。「20年早い電撃戦」というのも十分刺激的で興味深いシチュエーションなのですから。
 攻勢軸は「1918」同様多彩なオプションが考えられそうです。南方は連合軍にとって援軍を投入するのに都合がいい場所ですから攻勢向きとも言えますが、突破後の目標が少ないという欠点があります。ベルギー方面は勝利条件都市の宝庫ですから、非常に魅力的な攻勢箇所ですが、当然独軍も十分に防備を固めているでしょうから、かなりの抵抗が予想されます。中央を攻撃して分断を図り、戦線の拡大により敵の分散を図るというのも面白いでしょう。

 何れにせよ挑戦しがいのあるヴァリアントだと思いますから、プレイしてみても損はないと思います。

YEN      

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