チェコスロバキア'38(以下「チェコ'38」という)を初めてプレイしたので、感想などを述べたいと思います。
まず、チェコ'38の紹介をします。このゲームは英語版コマンドの付録ゲームで「もし、ナチスドイツがチェコを併合できずに戦争に突入したら」というIFゲームで、同テーマのゲームにS&Tの「CASE
GREEN」があります。ルールはいつものコマンド標準ルールに近く、「移動−戦闘」システム、移動中に移動力を消費して戦闘もできるというものです。ただ、コマンド誌には珍しくZOCがあります。伝え聞くところによると日本語版コマンドの「電撃戦1939」も同システムだそうです。
このゲームのマップを見てまず気付くことは、チェコ側の厳重な要塞ラインの存在でしょう。大雑把に言うと国境に沿って2重の要塞ラインがあります。この要塞ラインは各ヘクスごとに固有の1戦力を持っていて、要塞に敵ZOCは及ばないが、要塞内にいる部隊はZOCを失います。従って、この要塞ラインは恒久的な防御ラインには全く不適格です。なぜならば、この要塞線で戦線を張ってもユニットの存在しない要塞ヘクスを攻撃されて戦闘後前進されてしまうからです。
次にユニットを見ると、戦力的にはそれほどチェコ軍はドイツ軍に劣るものではありません。しかし、チェコ軍のほとんどが1ステップユニットなのに対して、ドイツ軍はそのほとんどが2ステップユニット、装甲師団は4ステップもあります。
これらのことから、ドイツ軍側のワンサイドゲームということができるでしょう。
今回のプレイははチェコ軍が私、ドイツ軍はK2氏が担当しました。時間の都合ではじめの4ターンしかできませんでしたが、展開は概ね事前に予想したとおりのワンサイドパターンでした。チェコ軍は戦力はそこそこあるのに1ステップユニットばかりで、反撃を行なうと、戦線に穴が開くため、結局、ずるずる退却していきます。
要塞線については事前にはほとんど役に立たないと思っていましたが、実際にプレイすると意外にも大変に重宝しました。要塞線が第1線となり、そこを突破されると突破された地点正面にだけにチェコ軍を集中させ、穴を塞ぐ形で防衛線を形成することになったのです。
なんとなく、体内に入った細菌に白血球が取り付く「ミクロの決死圏」を連想してしまいました。
この防衛線も時間稼ぎにしかなりませんが、規定時間までにチェコを降伏させないと、英仏の介入があり、ドイツ軍の敗北となりますので、充分に有効な戦術かと思われます。
以上、このゲームを1度プレイしただけですので、突っ込んだことは言えませんがなかなか良いゲームだと思います。ただ、同テーマの「CASE GREEN」はエポック日露戦争と雰囲気の似た、戦略オプションの幅の大きいゲームですので、「ゲーム」としては「CASE GREEN」の方がより面白いと感じました。
TraJan