1998年5月2日から5日に行われた近江合宿にてProud Monster(XTR)をプレイしたので報告します。
序盤の枢軸軍は私が北方軍集団と中央軍集団、KII氏が南方軍集団とルーマニア軍を指揮し、後半からは私が全軍を率いました。赤軍は紅氏が赤軍北方、TraJan氏が赤軍南方でした。
北方のセットアップ
赤軍の初期配置は、1998年4月4日のTSS例会同様、グロクナード(ホームページ)に発表された配置を採用しています。
南方のセットアップ
第1ターン、独軍はオーバーランにより前線を突破、そのまま一部の装甲は赤軍の前線を掃討します。中央軍集団の先鋒はミンスク北方の森林地帯を突破します。前回の戦訓により、歩兵の前進を優先しています。南方軍集団もスターリンラインの一部の部隊に打撃を与え、同時にリヴォフ近辺の赤軍の退路を遮断します。移動終了時には、各方面とも大戦力の装甲がスタックした状態にありました。このターン赤軍は40.5師団相当の損害を受けますが、独軍も装甲も1ステップ、歩兵6ステップの損害を出しています。
これに対して赤軍は、オーバーランを避けるため赤軍北方はオルシャ近郊まで下がり、赤軍南方はスターリンラインとドネツ川を利用して守ります。前回の教訓により、装甲のルーマニア方面へ援翼運動を妨害するため、ルーマニア方面へ回廊はブロックしています。第1線はほぼフルスタックでオーバーランはやりづらくなっています。また、一部で反撃が行われましたが、ほとんど戦果はありませんでした。
第2ターン第1カプレット、独軍北方では無人の野を駆け抜け、一部では攻撃が行われますが、軽微な損害を与えるに止まります。南方ではオーバーランの連続によりスターリンラインを超えることに成功し、赤軍に包囲攻撃を掛けますが、フルスタックの赤軍に対しての攻撃は思ったより戦闘比が上がらず、期待していたほどの損害を赤軍に与えることはできませんでした。
赤軍北方ではモギレフ・スモレンスク周辺で防御、南方ではルーマニア国境のスターリンラインとサウスブーク川を利用して防御します。また、突出していた独第101猟兵師団に攻撃を行い、全滅させます。
このカプレット赤軍は26師団相当の損害を受けますが、独軍も装甲も2ステップ、歩兵3ステップの損害を出しています。
第2ターン第2カプレット、独軍北方ではオーバーランを行いますが、赤軍は完全な従深陣地を引いていたため、あまり進撃はできません。南方ではサウスブーク・ドニエストル川間の間隙に対しオーバーランを行い、それなりの成功を納めます。
レニングラードではルガラインで戦線を張り、モスクワ前面ではGASラインまで下がります。モギレフ・スモレンスク間の戦線は維持しましたので、戦線が多少湾曲します。赤軍南方でもルーマニア国境のスターリンラインからキエフに至る湾曲した戦線を展開します。
赤軍に30個師団相当の損害を与えることに成功しました。独軍の装甲は1ステップ、歩兵は7ステップの損害を受けています。
第3ターン第1カプレット、独軍は北方で1の機械化部隊の補充を行います。独軍のオーバーランは何れも後一歩のところで突破に失敗し、各線戦で正面攻撃をしいらされます。独軍はバルダイ高地周辺へ進出するとともに、スモレンスク周辺に肉薄、南方でもそれなりの戦果を挙げますが前進は僅かに止まります。
赤軍はヴァルダイ高地に部隊を展開させると同時にスモレンスク周辺に大軍を配置、赤軍南方はオデッサに守備隊を置いたほかは後方へ下がり、キエフから南に続く直線的な戦線を構築します。
このカプレットの赤軍は30.5師団相当の損害を出しました。
第3ターン第2カプレット、独軍は北方・南方で各1の機械化部隊の補充を行います。
独軍はオーバーランを多用しつつスモレンスクを半包囲の状態に追い込みますが、前進は余りできません。ヴァルダイ高地でも多少の前進は見せますが、後方に赤軍歩兵が展開しつつあります。しかし、ゴメリへの攻撃は、突如現れた赤軍の精鋭部隊により大失敗に陥り、歩兵1個師団の全滅を含む4ステップの損害を被ります。南方ではキエフ後方に独軍歩兵が回り込み、半包囲の状態になりつつあります。南方の独軍装甲はサウスブーク川とドニエプル川の間に展開し、機動戦を展開して、多少戦線に楔を打ち込みました。ルーマニア軍は独軍と協力しつつ残敵を掃討、また、オデッサの赤軍10個師団を包囲しています。
赤軍はヴァルダイ高地に強力な防衛線を展開、プリピャチ沼沢地へ続くハイスタックな防衛線を引きます。南方では、キエフに防衛部隊を置いたほかは全般的に後退を開始しますが、戦線が広がったため、やや赤軍の防衛線が弱体化した感は否めません。
このカプレット、赤軍に33個師団相当の損害を与えることに成功しました。独軍の装甲は損害を出しませんでしたが、歩兵は1個師団の全滅を含む9ステップの損害を受けています。
第4ターン独軍第1カプレット終了時
第4ターン第1カプレット、独軍は北方で2の機械化部隊の補充を行います。
独軍のオーバーランの試みが報われる時がきました。スモレンスク南方への攻撃は成功を収め、僅かな戦線の切れ目から、独軍が奔流の様に赤軍後方に流れ込みます。独軍の先鋒はデスナ川に達し、一部はブリヤンスク周辺で後方に回り込み、ヴィヤジマラインの要塞線を破壊します。南方でもキエフをほぼ包囲するとともに、全戦線で暫時前進します。しかし、戦線拡大とともに独軍の兵力不足が目立ち、独軍はルガラインから撤退、ヴァルダイ高地からも撤退して余剰兵力の創設に務めます。
赤軍はブリヤンスク西方のポケットから撤退、デスナ川で戦線を立て直します。南方戦線も大幅に撤退、全戦線が直線化しつつあります。
このカプレット、赤軍に17.5個師団相当の損害を与えました。
第4ターン独軍第2カプレット終了時
第4ターン第2カプレット、独軍はさらに戦火を拡大、デスナ川を突破し、薄い戦線をオーバーランしつつ独軍は進撃します。先鋒部隊はクルスクまで到達、一部の部隊はオリョールを奪取しますが反撃をおそれ結局撤退します。南方ではキエフ攻防戦が始まり、守備隊に多大な損害を与えます。しかし、大兵力をキエフ攻略に費やしたため、南方のその他の戦域では、攻撃・進撃とも謙抑的なものに止まります。
独軍の突進に対し赤軍は総力を結集して反撃を開始。各線線からかき集められた戦車師団を先頭に、包囲攻撃を行います。しかし、賽子は悪くありませんでしたが独軍は撤退せず3打撃を耐えます。その他南方戦線では全力で撤退を開始しています。
このカプレット、赤軍に20.5個師団相当の損害を与えました。
第5ターン第1カプレット、独軍は独軍突出部へ集まってきた赤軍の排除を決意、オーバーランにより、赤軍40個師団相当を包囲することができました。しかし、それ以上の戦果を求め、歩兵2個師団を装甲1個でオーバーランしてさらなる戦果拡大を求めたところ、3:1の攻撃が左3シフトして1:2にて壊滅します。この結果に独軍は頭が昇って、2:1のオーバーランを3連続で仕掛けますが何れも2シフトの1:2にてそれぞれ壊滅、都合独軍装甲師団が4個壊滅する大損害を被ります。それでも全体で35個師団の損害を赤軍に与えることに成功しました。
赤軍は包囲している独軍に対し反撃を開始、オーバランにより包囲環を破ると、たちまち包囲された部隊は補給線を確立、救援部隊と合同で独軍に対し包囲攻撃を開始します。この反撃により独軍は自動車化歩兵2個を含む、9ステップの大損害を被ります。
第5ターン赤軍第2カプレット終了時
第5ターン第2カプレット、独軍も救援がてら反撃を開始、救出された部隊も補給線が回復するため直ちに反撃に参加。赤軍に27個師団相当の損害を与えます。しかし、その過程で相当な損害を被り、独軍の打撃力の低下を痛感させられました。
赤軍も限定的な反撃を行い、自身も損害を出しつつ、独軍に打撃を与え、独軍歩兵1ルーマニア騎兵1に損害を与えます。最終的な赤軍の損害は30個師団の損害となりました。
独軍の勝目が薄いと思われたため、ここでゲームを終了しました。
このような形でゲームを終了しましたが、ゲーム上の展開では8月にはクルスクが陥落する展開でしたので、途中までの展開は決して独軍不利とはいえない形勢でした。明らかに第5ターン第1カプレットの6個機械化部隊の損害がゲームに与えた影響が大きく、独軍の冷静さを欠いたプレイが反省されますが、プレイ後検討では、その伏線はすでに第4ターンにあったようです。
すなわち、第4ターンはオーバーランで突破後、敵戦力には構わず後方への突破を優先したわけですが、そのため第1カプレットは赤軍の損害は17.5個師団、第2カプレット赤軍の損害は20.5個師団相当に止まり、戦線は広げたものの、赤軍の損害は余りありませんでした。戦線拡大が第5ターン第1カプレットの包囲攻撃に繋がった側面はあるのですが、第4ターンに打ち漏らした赤軍兵力により、独軍が大損害を受けたとも言えます。
独ソ戦のキャンペーンゲームでは、独軍が進撃するよりも赤軍の撃滅に力を注いだ方が効果を上げることが少なくありませんが、このゲームでもそういう傾向はあったようです。
何れにせよ、簡単なルールで東部戦線を展望できる師団規模のキャンペーンゲームはそう多くありませんから、そのうちまたプレイしてみたいと思いました。
YEN