Wave of Terror:Battle of the Bulge(英語版コマンド41号付録)





 1ターン 1日
 1ヘクスの対辺距離 1.5マイル
 1ユニット 1個大隊(砲兵は実質旅団)
 フルマップ2枚
 カウンター840個
 デザイナー Jhon Desch
 ディベロッパー Ty Bomba& Christopher Perello
 1997年度チャールズ・S・ロバーツ賞受賞作



○シークエンス

 1 天候決定フェイズ
 2 第1カプレット
  A 独軍作戦セグメント
   1 独軍橋梁修理宣言フェイズ
   2 独軍移動又は戦闘フェイズ
   3 独軍戦闘又は移動フェイズ
   4 独軍橋梁修理適用フェイズ
  B 連合軍作戦セグメント
   1 連合軍橋梁修理宣言フェイズ
   2 連合軍移動又は戦闘フェイズ
   3 連合軍戦闘又は移動フェイズ
   4 連合軍橋梁修理適用フェイズ
 3 第1砲兵回復フェイズ
 4 第2カプレット(第1と同じ)
 5 第2砲兵回復フェイズ

○システム概観

 基本的に交互移動システムですが,”移動−>戦闘”あるいは”戦闘−>移動”のどちらかを選ぶことが出来ます。このゲームの一つのポイントと言える点です。
 移動に関しては,道路が非常に重要です。道路以外の地形の移動コストは2ですから,道路(特に交差点)の確保が焦点となります。
 戦闘に参加できる攻撃側ユニットは,基本的に同一フォーメーション(同一師団・旅団)の部隊しか参加できません。
 戦闘結果はステップロスの適用のみしかありません。
 なお,ZOCはありません。

○展開

 それらしい展開になるようです。すなわち,連合軍の戦力が多く,砲兵も多い北方では攻勢が行き詰まることが多く,南方もバストーニュへ着く頃から連合軍の援軍に阻まれ,進撃が伸び悩みます。一番進撃し易い中央ではバルジを形成することが出来るでしょう。
 なお,オリジナルルールで,選択増援を採用しないと,独軍の進撃が早期に行き詰まってしまうことが,多くの方から報告されています。オリジナルルールでプレイする際は選択増援を採用すれば,史実並の進撃が出来るようです(何か変な表現ですが。)。ローカルルールでプレイすれば,史実並の進撃が出来ます。ただし,プレイバランスには問題があるかも知れません。また,選択増援は採用しない方がよいでしょう。

○評価

 このゲームのウリは「プレイアブルなビックゲーム」と言う点だと思います。流石に1日でプレイすることは難しいかとは思いますが,合宿などでプレイするには好適なものです。
 ゲーム自体もなかなか面白いので,お勧めできると思います。

 システム的には,率直に言ってそれほど新しい物はなく,旧来のシステムを無難に組み合わせた物と言っていいでしょう。ただそれだけにプレイしやすく,その場でルールを説明してもらっただけで十分プレイ可能です。
 新奇なシステムでなくとも,十分面白いゲームとなることを,このゲームはよく教えてくれます。

 ゲームジャーナル46号で松家進氏が,旧来のバルジゲームはパニックの陥った米軍や初期計画が齟齬をきたした独軍の混乱を再現するようなメンタルシミュレーションに欠けているのでは,という趣旨のことを言っておられました。そういう観点はこのゲームには欠けていると思います。旧来のゲームと同じく,両軍は(自分なりの)最適手を選んでプレイすることになるでしょう。特に米軍には(おそらく当時の指揮官と違って)余裕を持ってプレイできます。
 しかし,このゲームは上記の点でアドバンテージを持つ,バルジの戦い(翔企画)やAus Dem Traum(GJ#46)とは違い,ビックゲームですから,多くの部隊を率いれる楽しみがあるわけです。要は,各ゲームに各々の楽しみ方があるということなのでしょう。

 何れにせよ,少なくとも私はWave of Terrorを気に入っています。願わくば皆さんも,実地にプレイして評価されれば,私としてはこれ以上の望みはありません。

                                              YEN

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