タイトル | : Re: 歴史群像67 |
投稿日 | : 2004/09/25(Sat) 00:35 |
投稿者 | : 山崎 雅弘 |
TraJanさん、こんにちは。
ご指摘のギリシャ独立戦争の記事ですが、全体をお読みいただければおわかりかと思いますが、今回の記事はローマに征服されたギリシャが、ナショナル・アイデンティティの回復という意味での独立を回復するまでの歴史的な流れが題材となっています。
そして、ビザンチン帝国とギリシャの関連についてですが、私はこの帝国が「ギリシャ(人の国)」であったという風には考えていません。なぜなら、当のギリシャ人たちが「自分はローマ人である」「この国はローマである」と公然と主張し、またそのように認識していたらしいからです。住民の多数派が(「今で言う」)ギリシャ人であったことは事実ですし、支配層もギリシャ人に握られてはいましたが、それは「今の時代で言うギリシャ人」であって、当時は「ギリシャ人」という固有の存在は内的にも外的にも認められてはいなかったはずです。
例えば、日本列島に住む人々が、中華思想に心酔して日本人としてのナショナル・アイデンティティを捨て去り、国名を「東中華人民共和国」と変えて「我々は中国人である」と主張し始めたなら、この列島は果たして「日本」なのでしょうか。政治的・文化的な自立を成し遂げておらず、隣接する巨大勢力の文化的影響力に併呑されているという状況は、私から見れば「隷属している」という表現が適切であるかと思うのですが、いかがでしょうか。