タイトル | : Re^2: ドイツ第6軍は救えたか |
投稿日 | : 2005/06/16(Thu) 14:37 |
投稿者 | : 山崎 雅弘 |
参照先 | : http://www.mas-yamazaki.net/sixangles.html |
WalkinAircraftcarrierさん、こんにちは。
パウルス第6軍の発売日が、ようやく決まりました。
このゲームは「図説・スターリングラード攻防戦」の中で披露した、私のスターリングラード包囲戦に対する認識を、対戦型ゲームの形にしたもので、あそこに書いた内容を実際にユニットを動かして検証することができるようになっています。
スターリングラード包囲戦に関する研究では、主にヒトラーの頑なな市街の死守命令がクローズアップされ、パウルスの軍事的能力面が評価の対象となることは少ないのですが、私は東部戦線の他の会戦と比較して、スターリングラード包囲戦当時のパウルスの指揮は、怠慢と評しても言いすぎではないほど敏捷さを欠いたものであったと考えています。
例えば、A軍集団全体を袋の鼠にしようとしてロストフを目指したソ連軍の大攻勢に対し、限られた装甲兵力を縦横無尽に駆使してソ連軍のロストフ到達を阻止したマンシュタインの手腕や、第11装甲師団を率いてチル川の敵橋頭堡を次々と潰してまわったバルクの手腕と比較すると、史実における第6軍の対応は「当時のドイツ軍らしさ」が全然感じられないほど、不甲斐ない行動であったように見えます。逆に言えば、同時のドイツ装甲部隊がこれほど鮮やかな「機動防御」を繰り広げることができたのならば、スターリングラード会戦の全体でそれができなかったことの方が不自然であるように、私には思えます。
このような認識に基づき、パウルス第6軍ではあえて「ヒトラー命令」の類を一切排して、純粋に軍事的能力の点で当時のドイツ軍に何がなしえたのかを試せるようにデザインしました。ソ連軍の反攻が開始された時、スターリングラード市内ではまだ市街の掃討戦が続いていたため、第1ターンにスターリングラード市ヘクスから外に出られるユニット数は全24ユニット中の9ユニット(3個師団相当)に限定されていますが、行動を制限するルールはこれのみで、あとは自由に枢軸軍プレイヤーが作戦手腕を揮って、ソ連軍の攻勢に対処することができます。
結果として、史実と同じような展開になることはまずないゲームに仕上がりましたが、私としては内容に満足しています。