History Quest「戦史会議室」
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タイトル ソビエトの潜水艦の悲劇
投稿日: 2005/04/01(Fri) 22:03
投稿者山家

>  亀レスになってすいません。
>  第2次世界大戦当初で最も多くの潜水艦を保有していた国はソビエトで、2位はイタリアのはずです。この2国の潜水艦も何やっていたか不思議ですね。確たる戦果はあるのでしょうか。

 取りあえず、手持ちのコマンドマガジン第2号の記事のみから拾ったもので、他の資料で裏を取ってはいませんが。

 WWUのソビエトの潜水艦ですが、1939年9月1日時点の保有数は168隻、1941年6月22日時点の保有数は215隻で更に100隻余りを建造中とのことです。そして、1919年に英潜水艦を引き上げて調査し、1920年代には独と軍事技術交流を行い、と世界水準に伍する潜水艦の開発に努力し、その結果、建造して間もない新造でかつ性能的に諸外国に見劣りしない潜水艦を大量に保有していました。

 その一方で、泣き所も多々ありました。海軍にも襲い掛かった赤軍大粛清(これによりベテラン士官の3分の2を喪失)と余りにも急速に拡大し過ぎたツケから来た、潜水艦に配属される人材の質の低下と量の不足でした。更に建造面に力を注ぎすぎた結果、定期整備や故障修理に手が回らない始末になりました。そして、ソビエトの地形上止むを得ないことなのですが、北方、バルト海、黒海、太平洋各艦隊に潜水艦を分散せざるを得ず、更に各艦隊を協調させて戦うことは事実上不可能で、個別に各艦隊が戦わざるを得ないという問題でした。

 そして、独ソ開戦時より、独はソビエト潜水艦対策に知恵を絞ります。まず、北方艦隊の潜水艦に対処するために、ノルウェー近海のフィヨルドに機雷をばら撒き、枢軸側の安全航路の確保を図ります。その結果、北極圏の厳しい天候の中で、レーダー未装備のソビエト潜水艦は枢軸側の商船を攻撃するのに、独空軍の制空権下での機雷堰の突破を強いられる羽目になります。

 バルト艦隊は更に悲惨でした。緒戦の独陸軍の快進撃により、多くの潜水艦が撃沈されたり、自沈を強いられます。そして、1941年8月から1944年9月まで、フィンランド湾の両岸は枢軸軍に抑えられ、ソビエト潜水艦は枢軸側の海上交通路を攻撃するのに、機雷・対潜ネット・ASW(枢軸側の高速巡視艇・航空機・潜水艦により編成)という複合的な対潜網を370km突破しなければならない地獄のような状況下で闘うことになりました。

 黒海艦隊にしても、セバストポリの喪失まではほぼ目標が無く、その後は最大の根拠地を喪失したことによる作戦制限が科せられるという状況でした。更に枢軸側は、1944年6月頃までは制空権を保持しており、海上輸送を行うには、海底の起伏の激しい沿岸部に機雷をばら撒いた上で、喫水線下の小さな小型の貨物船と艀を利用しました。

 それにより、どのような結果がもたらされたかですが、WWU中に122隻、26万5740tの戦果をソビエト潜水艦は挙げ、保有した272隻の内114隻を喪失しました。

 これをどう判断するかはその人に委ねます。


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