タイトル | : イタリア海軍の仮想敵 |
投稿日 | : 2005/04/29(Fri) 18:41 |
投稿者 | : WalkingAircraftcarrier |
山家さん、皆さん、こんにちは。
毎度の亀レスで、申しわけありません。
1920〜1930年代前半のイタリア海軍の仮想敵がフランスであったことについては異議はありませんが、1930年代後半にはイギリスも仮想敵ににされてきて、「世界2位の潜水艦戦力」も、対英戦を念頭に整備されたのではないか、と思います。
理由は、以下のとおり。
1.1933年にドイツにナチス政権が誕生、35年に再軍備宣言、同年に英独海軍協定、とヨーロッパ全体の戦略環境が変わり、イタリアの戦略的選択肢が増えます。イタリアは実際に35年にエチオピア侵攻、36年に(実質)スペイン内戦介入、37年に独日防共協定への参加(と、このへんのどこかで国際連盟脱退)と、第一次大戦後の英仏主導のヴェルサイユ秩序に対して挑戦的になっていきます。
このような行動は英との摩擦を引き起こさずにはいませんし、現に引き起こしています。この状況で対英戦の可能性を意識しないことはありえないはずです。
2.イタリア潜水艦戦力の建設過程を見てみると、
(1)イタリアが参戦時に保有していた潜水艦のうち、30年までに保有していたものは、航続距離7500浬超のもの(以下、仮に長距離型ということにします)1タイプ4隻に対し、航続距離6000浬未満のもの(短距離型ということにします)5タイプ21隻です。なお、UボートでいうとZB型の航続距離6500浬、]TC型11000浬です。
(2)31年〜35年の建造は、長距離型6タイプ13隻に対し、短距離型2タイプ19隻です。長距離型の比率が増えていますが、依然力点は短距離型にあります。
(3)36年以降、この状況が一変します。
まず36年に、短距離型2タイプ27隻が一挙に建造されます。エチオピア侵攻によって地中海には緊張状態が発生していますので、これに対処するための緊急建造と見られます。
ついで、37〜40年には、長距離型5タイプ29隻が建造されます。この間の短距離型の建造は1タイプ2隻だけです。
イタリア参戦時の「世界2位」の潜水艦戦力は、こうしたメリハリのある建造の結果なわけです。
こうして考えてみると、30年代後半の長距離型潜水艦戦力の大増強は、対英潜水艦戦を念頭においていたはずだ、と私には思えるのですが、いかがでしょうか。
……と、さもわかったらしく述べてみたのですが、以上は潜水艦の建造年と国際情勢からあてずっぽうに考えた一人合点のものです。なにしろ、資料がなさすぎるのですヮ……というわけで、どなたか資料豊富な方、いらっしゃらないでしょうか?