タイトル | : Re: イタリア海軍の仮想敵 |
投稿日 | : 2005/05/01(Sun) 22:11 |
投稿者 | : 山家 |
> 1920〜1930年代前半のイタリア海軍の仮想敵がフランスであったことについては異議はありませんが、1930年代後半にはイギリスも仮想敵にされてきて、「世界2位の潜水艦戦力」も、対英戦を念頭に整備されたのではないか、と思います。
ここでいう、対英戦というのは、英が宣戦布告した場合に伊本土沿岸の防衛戦を行うためという趣旨でよろしいでしょうか。それとも、それ以外、例えば伊から宣戦布告する場合も想定しそれに備えるためという趣旨でしょうか。私としては、伊本土防衛戦を行うため、ということならば、首を傾げながらも、まだ賛成の余地があるのですが、伊から宣戦布告する場合等も想定してというのなら、それは違うと思います。
何故なら、英国はスエズ運河を制しており、ジブラルタルも領土化していることから、地中海の外からの伊への物資の海上輸送路はすぐに封鎖可能です。更に一部既述のように、1940年に完成したヴェネト級戦艦以外の伊戦艦は英戦艦からみれば、二等戦艦で、戦艦の質量ともに伊海軍に勝ち目はありません。巡洋艦等の補助艦艇にしても量的に英は伊を圧倒しています。そして、マルタの存在は史実と同様に、地中海の伊の海上輸送路を締め上げる拠点となるものであり、更に圧倒的な英海軍によりマルタは難攻不落の要塞と化しています。そして、厳重な封鎖を英海空軍が行えば、伊は物資の不足に苦しむことになり、更に優勢な英海軍は伊本土に対する上陸作戦さえ成功させるでしょう。こうした状況から考えると、伊海軍にまず必要なのは、伊本土防衛のための艦艇ではないでしょうか。
当時の世界情勢の流れから、WalkingAircraftcarrier様が伊の対英関係が悪化している以上、それに対処する必要があるというのは、理解できるのですが、ただ、それに潜水艦の大量建造が有効か、というと私は首を傾げます。まず、対英戦を考えると、伊本土防衛を優先せねばならない程、海軍力に格差があり、リビアと伊本土との海上交通路の維持さえ、伊単独では困難な状況だからです。対英戦を伊が想定するなら、伊本土防衛や海上交通路維持のために、むしろ水上艦の方が必要ではないでしょうか。