History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^8: イタリアの潜水艦の悲劇(付録 フランス潜水艦の謎)
投稿日: 2005/04/25(Mon) 22:23
投稿者山家

 いろいろと忙しく、レスが遅くなり、すみません。

 前回にも書きましたが、伊海軍がどのような状況を想定して、整備されてきたのか、を考えないと話がおかしくなると思います。伊海軍は、仏海軍に対抗し、地中海の制海権を確保すべく整備されてきたのです。英海軍に対抗することは、ワシントン条約を締結した後の1920、30年代には考えられてもいません(当時、伊は13in以上の主砲を積んだ戦艦を1隻も保有していないのに、英は15隻の戦艦全てが15in以上の主砲を積んでいるのです。これで、伊海軍に勝ち目があるでしょうか。英に対抗する海軍を整備するのなら、ワシントン条約を伊は締結してはならなかったのです)。そして、仏海軍に対抗するための施策の一つとして、伊潜水艦は整備されたのです。

> 1.単独待ち伏せ・水中攻撃の「純WWT式潜水艦通商破壊戦」って、護送船団戦術によって、「もう終わった」戦術じゃなかったか、と思うのですが(英海軍はそう考えていたらしい)……工夫とか、考えなかったのかなー……護送船団やられたら、どうする気だったんでしょう?

 まず、この部分ですが、WWUの日本海軍でさえ、護送船団を組むのには、護衛艦を集めることや船団の編成法等、いろいろと苦労しています。大雑把に言って、WWUの日本海軍のほぼ半分の規模の同時代の仏海軍が、伊潜水艦に対応できる充分な質量を持った護衛艦をかき集められるでしょうか。そして、それだけの護衛艦を大西洋に派遣した仏海軍が、伊海軍に勝って、地中海の制海権確保ができるでしょうか。

> 2.水中攻撃で通商破壊、ということは、「フランス船と見るやぶっ放す」のだと思うのですが……WWU前の国際条約でもって、潜水艦が商船を攻撃するときは、例外的な場合(護衛されているとか、軍隊を運んでいるとか)を除いて、「まず停船させて臨検してから」にしなさい、となってたハズなのですが……まー、WWUでこれ律儀に守った交戦国て1ヶもないみたいだから、いいのか……

 この部分については、デーニッツの回想録の原文が読めなかったので、コメントしづらいのですが。私としては、伊は潜水艦を遊撃戦力として考えていた、ということだと思います。西アフリカやインドシナ、ニューカレドニア等々から本国を目指す仏商船を狙おうとするならば、潜水艦を単独で特定海域にばら撒いたほうが、仏海軍がその海域の伊潜水艦を狩りだし、殲滅するのに手間が掛かります。主戦力を拘引し、負けずに長く戦うのを第一に考えるのなら、発想自体は悪くないように思われます。

> 3.英米船ならともかく、大西洋のフランス商船て、「潜水艦がバラでン十隻待ち伏せて」狙うのが合理的なほど、密度濃ゆいんですかね……いいのか、好き好きで……

 2でも書きましたが、当時の仏の植民地は英には劣るとはいえ、世界各地に散在しています。それらの植民地から仏本国に向かう商船や仏領西アフリカの沿岸航路の商船等、獲物はそれなりにあります。そして、伊潜水艦の第一の目的は、仏海軍の主戦力の誘致、拘引なのです。通商破壊は副次的な目的なのです。そして、大量の伊潜水艦が潜伏すればするほど、仏海軍はその殲滅に手間取ることになります。そうなれば、伊海軍主力が第一目的たる地中海の制海権確保がより容易になると考えるのですが、いかがでしょうか。


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