History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^3: イタリアの潜水艦の悲劇
投稿日: 2005/04/18(Mon) 17:07
投稿者WAlkingAircraftcarrier

山家さん、皆さん、こんにちは。いつも亀レスですみません。

NO2216を読み返してみて、これは誤解を招きやすくてイタリア潜水艦かわいそう、と気付きました。引用を省略したデーニッツの文章に、こうあります。
「南大西洋と、さらに後日出撃したカリブ海とブラジル沿岸では、数隻のイタリア潜水艦が、主として独航船に対する各個行動で大変な好成績を挙げた。それは同海域で同じ頃ドイツ潜水艦が挙げた戦果に匹敵するものであった。」そして5人の艦長名、騎士十字章の2人の戦果が挙げられ、中南部大西洋で好成績を挙げたのに北大西洋で戦果がなかった理由は、ときて、イタリア人の性格云々の話になるわけです。

ダニガン/ノーフィの本は見落としていて、そこまで好成績だったとは知りませんでした。
大西洋のイタリア潜水艦の成績が非常に良くなっているのは、
1.山家さんが(ダニガンらも)仰るとおり、潜水艦にとって厳しくなった43年以降にはイタリア艦は引き揚げずみだったことと、
2.潜水艦の最高の稼ぎ場所だった42年前半期の中南部大西洋(アメリカ参戦後・護送船団採用前の時期・海域)に投入されたこと、
のためだろうと思われます。

ただ、対船団戦では成績を挙げられなかった(特に、デーニッツが猫の手も借りたかった40〜41年に「使えなかった」)わけなので、イタリア潜水艦部隊に対する私の総合的な評価は変わらないのですが。

いま一つ、イタリア軍の潜水艦の場合、燃料不足はあまりネックになっていないのではないでしょうか。潜水艦のエンジンは駆逐艦の10分の1以下の低出力でおまけにディーゼルで、戦果/燃料のパフォーマンスが滅茶苦茶に良いです。燃料を大量に食うのは水上艦艇(特に大型艦)なので、一海軍が燃料不足であればあるほど、大型艦をしまいこんで潜水艦に働かせる、というパタンになるはずだと思います。
ドイツ海軍でも、ソ連との開戦後燃料危機に見舞われて大型艦が干ぼしにされますが、潜水艦の燃料はケチっていないようです。(デーニッツはそれこそ章ごとに潜水艦の隻数が足りないと文句を言っていますが、燃料が足りないという愚痴は全然出てきません。)
むしろ、参戦してから降伏までの3年間に30隻しか潜水艦を新造できない、という建造能力……つまりは鋼材不足……のほうがネックだったのではないでしょうか。ドイツは6年間で約1000隻を新造しているので。(


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