History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^10: 指導者と二次大戦
投稿日: 2005/11/13(Sun) 21:04
投稿者ごちょう

こんにちは

あまり建設的でない議論になっているのが残念ですが。

> 考察が平面をぐるぐる回りするだけで個別の事実をピース
> としてはめ込む努力さえしてないじゃありませんか。

まあ合わないピースを強引にはめ込むより「まずはより多く
のピースを集める」方が重要だとも思っていますから。

その点では

> スターリンはドイツが攻撃を加えてきた時には完全に戦意
> を喪失し二週間後、ハルダーが「ソ連は軍事的に崩壊した」
> と判断した時に戦意を取り戻して戦争指導を開始しました。
> 野戦軍の撃滅とスターリンの戦意の喪失とに相関関係はな
> かったわけです。なぜそうなったのか?

の答えも「ピースの一つ」なので是非とも伺いたい所ですが
回答が無いのが残念ですね。

個人的には「小生が上げたミニマムでテクニカルな要素の幾
つか」ではないか?と推測していますが。それとも他に「決
定的な理由」があるのでしょうか?

> もっとも、本当はとっくに結論を出していて適当に議論ごっ
> こを楽しんでいるだけなのかもしれませんけど。

少なくとも小生にとっては「非常に有意義」ですよ。

ゲンガーさんの「時間」と言う要素の指摘は重要だし、フラ
ンスの降伏選択の妥当性も勉強になりました。柿崎さんの「
一次大戦の仏露との比較」も興味深いですね。

元来1941年の独ソ戦に関しては「ナポレオンのロシア遠征」
からの引用が多いのですが、一次大戦からの戦訓と言う意味
でも重要なテーマになりますね。「一次大戦の経験からロシ
アはすぐ降伏する」と軽視していたとも考えられますね。そ
の点に関してはバルバロッサ作戦の第二段階作戦の重点目標
が「明確に定義されていなかった」と言う事からも伺えます。

少なくともドイツ軍も図上演習を繰り返して研究していた訳で
すから単にそれを「ドイツ軍の見込み違い」で片付けられる問
題でもないでしょうね。そしてドイツ参謀本部がそんな無能集
団だったとも思えませんね。

それなりの勝率のある作戦だったと小生は考えています。

また「時間と言う不確定要素」に関しても小生は軽視していま
したね。少なくとも電撃戦のドクトリンには「スピード=時間」
と言う概念は重要な要素ですから、その点でもゲンガーさんの
指摘は重要でしたね。

> 国家指導者として考えると、おおよそゲームにならない、
> というのはあります。フランスの国家指導者をプレイする
> ならソ連との軍事同盟なしにポーランドへ保証を与えない
> でしょうし日中戦争を継続しつつ太平洋に手を出すような
> 無謀な日本プレイヤーもいないでしょう。

フランスの事例に関してよく分かりませんが、太平洋戦争に
日本軍に関しては「一撃講和による限定戦争」の枠内での戦
争終結を想定しましたね。まあウィリーさんの想定する「降
伏と言う決定的勝利」を想定した「最終戦争」では日中戦争
の有無に関わらず日本の勝利はありえないでしょう。

ただ日清・日露戦争のような「限定戦争」の枠内での戦争な
ら日本のある程度の「勝ち」はあった訳で、もちろん日露戦
争も敵国を最終的な降伏まで継続する「最終戦争」であった
なら日本に勝ちはなかった訳です。日本軍にはモスクワまで
遠征する力は無かった訳ですし、講和条件にしても「ギリギ
リの決断」であった訳ですね。そしてロシアにも革命の足音
は聞こえつつありましたし、資金的にもウィリーさん的には
たとえ東アジアの権益を多少失っても「戦争を続けるよりは
マシ」状態でありましたね。

つまり「戦争を続けるよりはマシ=国土が蹂躙されるから」
ではないのですよ。そしてその考え方は「最終戦争」におい
ての考え方で「限定戦争」には適応されないのです。

従って、戦争終結は必ずしも「降伏と言った決定的勝利もし
くは敗北」と言う結果とはならず、むしろ無条件降伏といっ
た二次大戦の終結形態の方が「例外的」であると言ってよい
のです。つまり通常の戦争形態は「条件闘争」である所の「
限定戦争」である事例の方が圧倒的に多いのです。

その点では現実の蒋介石やスターリンの対応の方が「想定外」
であった訳であたかもそれを当然の前提にして「判断の基礎」
にするのは明らかに後知恵で誤りだと思います。そして現実
の展開も「結果の一つ」と言う確率でしかないと思います。

そして可能性の問題ではその「限定戦争」での枠内での終結
と言う可能性も考慮に入れるべきでしょう。少なくとも一次
大戦のロシアはドイツと講和している訳ですから。その延長
線上でのドイツの「対ソ戦略」も考察すべきだと考えます。
そしてドイツの「電撃戦」も明らかに「総力戦といった最終
戦争では無く限定戦争を想定した機動戦」で「一撃講和的」
でもあります。その点では「敵に判断の余裕を与えない」と
言った「時間とスピード」と言う要素は大きいと考えます。

まあ「中国・ロシアと最終戦争をしてはならない」と言う意
見においてはウィリーさんと同意見で、だからこそチャーチ
ルの言葉にも深い意味があるのでしょうね。

ただ限定戦争的には「リガ・スモレンスク・キエフが陥落し
た時点でスターリンは対独交渉を考える可能性もあった」と
考えています。条件次第ではスターリンも「戦争を続けるよ
りはマシ」と考え直す可能性もあるでしょうね。その場合は
そしてその場合は「1941年の独ソ戦は引き分けもしくはドイ
ツの限定的勝利」と言ったものとなるでしょうね。

その点は関してはヒトラーが「スターリン体制の打倒」以外
の妥協点を想定していなかった所にも問題がありそうですが。

ただ独ソに関してはポーランド侵攻のような事例もあり、ま
た連合軍側も「ナチスドイツと言うババの押し付け合い」と
言う側面もありますね。スターリンが単独講和の応じて「バ
バを英米に押し付ける」可能性は多分にあります。またチャ
ーチルはそのような事態を非常に恐れていましたね。

とまあウィリーさんの「最終戦争的な解釈」だけでは「決し
てピース埋まらない」訳で、その点は巷で話題になっている
「逆転史観」的な短絡的な解釈だと思いますね。だからこそ
「考える」訳ですが。


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