History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re: 方面軍と正面軍
投稿日: 2004/06/10(Thu) 15:25
投稿者山崎 雅弘

TraJanさん、こんにちは。

>  軍集団に相当する部隊単位のソビエト軍の「FRONT」ですが、従来は「方面軍」が一般的で、オーソライズされている感じでした(一部では「戦線」との訳語もありましたが)。ところが、最近は「正面軍」との訳語を目にすることが多くあります。
>  機甲・装甲とは異なり、当初から訳語の混乱があった訳でもないのに、今更訳語を変えるのには少々疑問も感じます。

 私もかつて、正面軍という訳語を使っていたことがありますが、今は方面軍で統一しています。「正面軍」という言葉を使った最大の理由は、単に「少しぎこちない用語の方がソ連っぽいから」。なにせ当時の正式な国名からして「評議会社会主義共和国連邦」、それが解体してできた国家連合の名称が「独立国家共同体」ですから。でも方面軍の方が用語としては一般的なので、そういう変なこだわりはもう捨ててしまいました。
 最近になって正面軍という訳語が増えた、というご意見は、例えば「詳解独ソ戦全史」などを指しておられるのだと思いますが、この本の訳者の守屋氏はドイツ史がご専門で、ソ連側の用語については今までの慣例とは異なるものをあちこちで使われています(スタフカVGK=「最高司令部委員会」など)。また、私もあまり偉そうなことを言える立場ではありませんが、ソ連側の固有名詞についてはあまりご存知ないところがあるようで(例えばP120に「スパスからデミヤンスクに集結した」とありますが、これはスモレンスク南東にある小さな町「スパス・デメンスク」のことです)、その辺りも考慮する必要があるかと思います。
 あと「戦線」とは、言うまでもなく「Front」の直訳ですが、一般的には「戦線」というのは漠然とした戦域を指す用語として用いられるので、固有の編成の名称としてはなじまなかったようです。
 以上、私のわかる範囲で書かせていただきました。

 ところで、「ソヴィエツキー・ソユーズ」の「ソユーズ」は「連邦」とちゃんと訳されているのに「ソヴィエト」の方はたいていそのまま訳さずに通用しているのは、考えてみると不思議です。国名として、その方が「座りがいい」からなんでしょうか。


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