History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re: 欧州海軍はいかなる任務を果たすべきか
投稿日: 2004/06/27(Sun) 18:30
投稿者山家

 ウィリーさまへ。

 まず、前半部のウィリーさまの欧州各国の海軍の任務については、私もほぼ同意見なので、その部分については、レスを省略させてください。問題は、ウィリーさまが私に宛てた部分にあると思うので、そこにのみ絞って、論じたいと思います。

> 史実とはなんぞや、ということを明確にしない限り史実の流れという言葉には何の意味もありません。よし史実とはなんぞや、という事に答えを出してもそれが誰にとっての史実なのかを明確に出来なければ議論をするには何の役にも立ちません。さらに、実行可能性を論じるのであるならば、誰にとっての実行可能性かを明確にするのでない限り何も言っていないのと同じです。
>
> だから、私は、誰にとっての議論なのかをくどいぐらいに言うのです。「欧州大陸国家」にとっての史実の流れも史実の流れです。「欧州大陸国家海軍」にとっての史実の流れも史実の流れです。「20世紀の技術発展」にとっての史実の流れも史実の流れです。ほかにもこの件について発言権のある「史実の流れ」は存在するでしょう。どの史実の流れを基準にするのか明確でなければ史実の流れという言明それ自体が空疎でしかないのです。
>
> 「役に立たない」も同様。 誰にとって役に立たなかったのかが不明ではやはり意味のない言明なのです。

 私にとって、誰にとってというのならば、唯一つです。当時の欧州大陸国家の海軍にとって、です。そのうえでずっと述べてきています。私の説明の仕方がずっと大変悪かったようで、どうもすみませんでした。

> 任務と予算とドクトリンを全部固定してしまえばほかの要素をどういじりまわそうとも最後の結論は不変です。バラバラに論じる事自体が意味のないことです。どれかは変更可能にしておかなければ「結果は史実通り」に決まってますから議論の必要もありません。

 私が固定したのは、その3つの中では、予算のみのつもりだったのですが、それによって任務もドクトリンも固定されるのでしょうか。

> 輸送船が半日で港までたどり着けるなら、夜戦を想定しないのも考え方です。ですから、開戦後直ちに、いかなる犠牲を払ってでもチュニスを確保するなら、それはそれで見識だったでしょう。夜戦は不可能だからそのときには逃げる。…輸送船は逃げられないから、全部地中海の埋め立てに使われる、そういう事も想像できなかったなら、一体イタリア海軍の将帥は何を考えて戦争計画を立てていたのでしょう。 むろん、短期に艦隊決戦を行ってイギリスの戦意を打ち砕くから
地中海航路の安全は考えなくて良い、というならそれはそれでまた一つの見識です。が、イタリア海軍は1940年を通じて(つまり、重油がまだ多少は残っていた時期ですら)艦隊決戦を求めるより、逃げ回ることの方を選んでいた物です。

 まず、私は夜戦が不可能だとは言った覚えはありません。夜戦を避けるように努めたのは、止むを得ない判断だったと言っているのです。劣勢な海軍で、補充もままならないのに、勝算が無くともひたすら突撃していくのが、正しい戦法なのでしょうか。マルタ島を英艦隊の根拠地とすることを空軍の爆撃により不可能にすれば、英艦隊はどこから出撃してくるのでしょうか。アレクサンドリアか、ジブラルタルから英艦隊は出撃せざるを得なくなり、更にジブラルタルからの英艦隊はサルディニア、シチリアからの空軍の攻撃により、アレクサンドリアからの英艦隊はリビアからの空軍の攻撃により、阻止すれば、伊海軍は輸送船団を護衛して、リビアに到着できるのです。更に申し上げるならば、その逃げ回っていたという事実を挙げていただけないでしょうか。私の勉強不足かもしれませんが、出撃した伊艦隊が兵力的に優勢または同等でありながら、撤退した事実は無かったと思います。港に引きこもっていたことが、逃げ回っていたというのならば、日本海軍の方が逃げ回っています。何しろ、米国はサウスダコダやワシントンまでソロモン諸島での海空戦に投入したのに、金剛級戦艦しか投入していないのですから。

> 私はそんなことを言ってはいません。まともな艦隊防空には空母が不可欠だと言っているだけです。水上艦艇による制海権確保をあきらめて、陸上機のみで制海権を確保するつもりなら全く話は別です。

> が、私は海軍に可能な選択の話をしているのです。まともな海軍航空隊が存在しているのであれば、陸上航空隊による沿岸の制海権確保も可能でしょうが、海軍航空隊がないのに一体どうやって「海軍」が
陸上機で制空権を確保出来るというのでしょうか。

 制空権確保は空軍の任務であるとたびたび説明しています。何故、海軍航空隊でないと、制空権の確保ができないのでしょうか。海軍と空軍の連携が史実で悪かった以上、必要不可欠とおっしゃられるのでしょうが、日本海軍でさえ、マリアナ沖の惨敗等、制空権の確保で、海軍航空隊と水上艦隊の連携がうまく言っていたとは言い難いのです。一方、米国は陸軍航空隊と海軍とがうまく連携して、制空権の確保に努め、私の見る限り、成功しています。米国陸軍航空隊が成功したことを、各国の空軍に期待することが、絵空事とおっしゃられるのならば、私はこれ以上何も申し上げることはありません。それなら、各国に空軍は一切不要で、陸軍航空隊と海軍航空隊のままでいるのが正解だったと思います。

> 第一、どうして欧州海軍の空母が敵陸上機の威力圏内で活動する必要があるのでしょう。両軍とも〜あるいは敵側は〜空母以外に航空支援の得られないような場所でこそ、欧州海軍の空母はもっとも役にたつであろうというのに。

 それは一体どこなのでしょうか。北大西洋のど真ん中なら、そうもいえるでしょう。しかし、地中海も北海も両軍共に敵陸上機の威力圏内なのです。

> 空母の予算が海軍航空隊に振り向けられるのならその議論もよろしいでしょう。空母の予算が戦艦建造に回されるのであれば全くの無駄遣いです。敵制空権下の水上艦は的でしかない、その実例ならいくらでもありますが、そうでなかった実例を上げるのはきわめて困難なのです。

 上記の繰り返しになりますから、省略します。

> それで、山家さんに一つお聞きします。
> いかなる「史実の流れ」が(つまり、誰にとっての史実の流れが)
> 「まともな海軍航空隊」を「欧州大陸国家」に生み出すことが出来るというのでしょうか。英国海軍にだって陸上基地から発進するまともな能力を持った海軍航空隊なんてなかったというのに。

 逆にお伺いします。空軍は、海軍にとって脅威ではないのでしょうか。制空権なくして、制海権なし、ということは、空軍は海軍にとって脅威の存在だと思います。まともな海軍航空隊を整備する位なら、空軍を整備して、海軍と空軍の連携を高めたほうが効率的ではないでしょうか。わたしは、まともな海軍航空隊を整備するくらいなら、空軍を整備した方が効率的だと思います。水上艦隊を空母の艦載機で直接護衛するより、敵の航空基地や空母を叩くことで、制空権を確保した方が効率的だと考えます。


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