History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^6: 欧州海軍はいかなる任務を果たすべきか
投稿日: 2004/07/01(Thu) 10:09
投稿者ゲンガー

風間さん、おはようございます。ゲンガーです。

>  基地航空戦は消耗戦です。航空攻撃だけで敵航空基地を壊滅させることは非常に困難です。
>  基地は爆撃されても修理すればよいし、航空機は破壊されても、補充するだけです。
>  制空権を完全に得るには、敵が消耗に音を上げて引き下がるか、敵基地を陸上部隊で占領するしかありません。
>  そのためには、少なくとも、敵に数倍する航空兵力を数ヶ月間継続して投入する必要があります。
>
>  ドイツはこれを英国の戦いで試みて失敗しました。
>  アメリカは太平洋の戦いで成功しています。恐らく、アメリカ並の補充能力がなければ、成功しないことなのでしょう。

基地航空戦が基本的に消耗戦であり航空攻撃だけで壊滅させるのが困難であることはその通りだと思います。ある基地を屈服させるのには次の3項目が必要でしょう。

1.反復して攻撃する。
2.補給を断つ。
3.陸上部隊を進出させ攻占領し自軍への補給を確保する。

ドイツの対英戦では「1」がいわゆるバトル・オブ・ブリテン、「2」がU-ボートによる通商破壊戦といえるでしょう。しかし「3」に関してはドイツはその能力を持っていなかったと判断されます。よって、たとえ「1」と「2」が史実以上にうまく運んでもイギリスは簡単には屈服しなかったでしょう。そういう点から、空軍重視(というよりは偏重?)戦略は一般論としてはうまく機能しないでしょう。やっぱりバランスが大事なのではないでしょう。

ですが、私が前のメールで述べたように、地中海限定ならば事情が変わってくると思います。英本土とマルタ島では自身が持つ継戦能力に雲泥の差があります。英本土に対して空軍は上の「1」の機能しか持ちませんが、マルタ島に対してはシシリー島を本拠地とする空軍は「2」の能力も持ちうると思います。その地点での生産能力がなければ、補給の途絶はいずれその基地の無力化につながります。よって、マルタ島に関しては上記「1」と「2」だけで目的は達せられるのではないでしょうか。

空母に対しては上の意見は当てはまらないですが、マルタ島が機能停止していた時期に枢軸軍の北アフリカへの補給が十分なレベルまで回復した点を見ると、強力な陸上航空部隊が空母への抑止力として機能していたのではないでしょうか。

>  陸上航空機だけで洋上の完全な制空権を得ることは困難です。
>  陸上航空機で船団の直接支援を行うことは困難です。

異論はまったくありません。船団上空の制空権への影響は間接的なものです。敵が一時的に船団上空の制空権を確保できる可能性は十分にあります。陸上航空機が船団護衛を常設の任務とするのは得策ではないと思います。

>  勿論、空母があれば洋上の完全な制空権を得られると言っているわけではありません。しかし、空母は洋上の任意の地点に一時的な航空優勢を作り出すことができます。この能力こそが欧州諸国の海軍には必要なのではないでしょうか?

船団の直接護衛に関して空母がベストの選択であることには異論はありません。ただ、二者択一ならば間接的な護衛が可能でかつ敵の本拠地を叩くこともできる空軍増強のほうが勝率が高いと思います。空母も敵基地の攻撃は可能ですが、陸上機の行動範囲内に基地があった地中海であるならば、投入機数、攻撃回数とも空母航空隊より有利にできる陸上航空部隊の方が効果的かつ効率的ではないでしょうか。

以上です。


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