History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^10: 欧州海軍はいかなる任務を果たすべきか
投稿日: 2004/07/04(Sun) 01:13
投稿者ゲンガー

風間さん、こんばんわ。ゲンガーです。

>  結局、マルタ島だけが敵ですか。

決してそういうわけではありません。ギリシア・クレタ・チュニジアやアルジェリア等には陸上航空隊のみで間接的な船団護衛は不可能だと思っていますしそのように前の投稿で述べたつもりでした。

> #タイムマシンか、予言者が必要ですね(笑)。

これもその通りです。全てを知った上での後知恵計画であることは間違いありません。ですが、これは一番初めの投稿に述べたとおり(と思うのですが)史実や航空機の能力等を知った上でどうすればいいか、という方向で投稿させていただきましたのでご容赦ください。

> > 1.空母にも護衛艦が必要。イタリア海軍の所有艦艇数からみて問題はないのでしょうが、やる気が…
>
>  何が問題なのか分かりませんが?
>  イタリア海軍は空母の護衛をまじめにやらないとでも言いたいのでしょうか?

これも最近読んだものなのですが(コマンド最新号のロイヤルネイビー追加シナリオ)、海軍上層部は実戦部隊に「圧倒的に優位な状況でない限り、敵と交戦してはならない」と命令していたそうです。前後の文脈からこれが史実であると判断したのですが、もしそれが正しければ下手すると空母自体が逃げ帰ったのかなぁ、と思ったのです。

> > 2.空母に積載している航空燃料・弾薬で搭載機は何回戦闘できるのか?それを越える回数攻撃を受けたらそれから先は無防備に近いものがあります。
>
>  地中海の作戦で1週間以上かかることもないでしょうし、不足することはないと思います。
>  それとも、護衛任務の空母が航空燃料の不足を来したという事例があるのでしょうか?

航空燃料の不足をきたした事例はないでしょう。ただ単純に、洋上補給をしない限り、港で積み込んだ物資の制限がありますので、それがどれくらいなのかわからなかったので尋ねただけです。ちなみに、イタリアーリビアの最短コースは3日で到着するそうです。太平洋での戦いは、燃料・弾薬欠乏の前に敵が戦域から離脱したり、稼動機数が減ったりして戦いが終結したと理解しています。

> > 3.単独でマルタ島に有効な効果をあげられなかった航空部隊の能力で部分的にしても制空権を確保できるのか。C.202が実戦配備される頃なら期待してもいいのでしょうがそれ以前は。
>
>  マルタ島へ渡洋攻撃する場合と基地上空で防空戦を戦う場合では条件が全然違います。
>  防空戦は敵の戦闘機と戦う必要がありません。敵の爆撃機を撃墜する必要もありません。ただ敵の攻撃を妨害するだけでよいのです。敵の護衛戦闘機にばたばたと撃墜されるようでは困りますが、そうでなければ要求される能力はそれほど高くありません。

この点は納得いきかねます。攻撃機を護衛するために随伴している戦闘機は、防御側戦闘機による妨害を阻止する目的できているわけですから、その攻撃をかいくぐって攻撃機の行動を妨害するのはそれほど簡単だとは思えません。数の優位とか技量の差でそのような状況はありえますがその逆もありえるでしょう。早期警戒システムがある程度できていたバトル・オブ・ブリテンの防空側英空軍があれほど苦戦(と私は思います)したのを見ると、それなりの能力を持った防空側もそれなりの能力を持った攻撃側の意図を排除するのは簡単ではないと思います。

>  第一、空母に着艦できるほどの技量のパイロットの能力を心配しなければならないなら、その国の航空戦力全体の練度は全員素人ですよ。

太平洋では米空母戦闘部隊はゼロ戦相手に初めのうちは大苦戦しています。それはパイロットの能力だけの問題ではないでしょう。陸海空どこの戦いでも戦力の大きな方が勝つ確率が高いと思います。ここでいう戦力とは単に数だけでなく兵器の質、兵士の士気・技量等を総合的にみたものです。陸なら地形効果も入るでしょう。これらは掛け算で計算されるものでしょう。質や士気・技量の不足はある程度数で補える。逆もまた然り。数の制限がきつい空母戦闘機部隊について他の要素でどこまでカバーできるのか、その問いかけでした。

> > 4.一度に直掩機数を越える数で攻撃される危険をどう排除するか、あるいは対処するか。
>
>  マルタ島だけからの攻撃で直援機数を越える攻撃を受けることは想定しがたく、また、別の複数の基地から多数の攻撃機を送り出すことは可能ですが、それを合流させることは至難です。
> #目的地や洋上で合流するのは至難。基地上空でなら合流もできますが、航続距離や飛行時間の問題がありやはり困難。

私も複数の基地から発進した攻撃機が合流するのは、現在なら可能でしょうが当時は困難であったことは同意します。ただ、勉強不足でマルタ島にどれだけの航空機が配備可能だったのかわからないことと、英空母が日本並みに集中運用された時、複数の空母が必要なのではないかと思いまして尋ねてみました。

>  いずれにしても、私も空母を護衛に付ければ制空権を必ず得られると言っているわけではありません。空母は航空兵力の集中度で陸上基地を上回るので、洋上での航空優勢を得られるだろうと言っているだけです。ですから脅威度の低い航路を選定することが前提となります。
> #だからといって、あまり回り道をすると別の危険が増えるのでなかなか難しいことではありますが。

もちろん、私の方も断言できません。お互い実際に起きてないことですから白黒はっきりしないのでしょうね。
ちなみに、マルタから雷装ウェリントンは長靴の先からトリポリまでが行動圏です。2t爆弾搭載ウェリントンはローマ以南のイタリア本土、ギリシア沿岸地域、エル・アゲイラ、ベンガジが行動範囲です。ブレニムですとトブルクがぎりぎり行動範囲外になります。マルタが生きていればできるだけ東寄りを選ぶのでしょうがそれでも攻撃機の行動範囲内で、かつあまり東によるとエジプトからの行動範囲に入ってしまいます。こちらのコースを取るのであれば空母は必須でしょうね。

>  重箱の隅はつつき始めるとキリがありませんよ。
>  空軍を増強すると言って、その予算は?
> #海軍を無くしますか?
>  パイロットは用意できるのですか?
> #ただでさえ低い練度がますます低下しそうですね。
>  基地は?
> #陸上基地は思いの外運用できる機数は少ないので多数の機体を使用するには数多くの基地が必要になります。
>  燃料は?
> #ドイツも航空燃料をそんなにたくさん融通してはくれないでしょう。
>  運用は? 多数の航空機を一度に投入した場合、統制は取れますか?
> #5倍の敵に囲まれればエースパイロットも逃げ回るしかありませんが、1機ずつ5回なら充分に戦えます。
>
>  規模を大きくするのは簡単そうに見えて、問題も大きいのです。
>  私が空母にこだわるのは、規模を大きくしなくてすむことも理由の一つです。上述した空軍増強の問題は空母保有に関しては大きく緩和されます。
>  予算はアキーラの建造直前までいっているので、史実に上乗せする予算はそれほどでもありません。恐らく、旧式戦艦の改装費用を充てればなんとかなるでしょう。
>  パイロット、燃料の問題は増分の機数が空軍増強に比べれば遙かに少ないので問題は緩和されます。
>  基地と運用は空母が正にそのために存在するので全く問題がありません。

空軍増強を押しておいてこんなこというのはお叱りを受けるかもしれませんが、実際にやろうと思ったら滅茶苦茶大変だとは感じます。できない可能性も決して小さくありません。ただ、長くなるので風間さんからの返信は削除しましたが、空母喪失を想定した次の手を考えると空母の方に旗を揚げることができません。

相手の得意分野で足を止めての殴り合いは分が悪いと思います。まぁ、イタリア相手のイギリスは陸海空すべてにおいて得意分野なのでしょうが、その中でも空が一番ギャップを埋めやすい(万が一にもひっくり返せるかもしれない)と感じます。空母も本質は空の戦力(そのプラットフォームに過ぎない)ですが、実体が海にあるので海の戦力の影響を強く受けます。かたや陸上の空の戦力は海の戦力の影響を無視できます(兵糧攻めや艦隊からの攻撃が効く場合もありますが)。この考えもあってどうしても空軍の方に傾いてしまいます。

以上、たびたびの長文、失礼しました。


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