History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re:高級官僚光秀の悲劇
投稿日: 2005/07/01(Fri) 17:46
投稿者ごちょう

小生なりに「野望説」を考え直してみました。

そして「動機としての野望説と結果とは必ずしも一致しなく
ても良いのでは無いか?」と考えることも可能だと思ったの
でした。

従来光秀の能力は高く評価されてきました。確かにあそこま
での出世をしたわけですから凡庸な能力では無いでしょう。
だからと言って神様ではありませんから「全て間違いの無い
選択をしていた」わけではありませんね。自ずと限界もあり
ます。

またどんな人間もその人生の絶頂にある時は慢心や天狗にな
り「自分の実力を過信」したりするものです。そして信長か
ら秀吉以上に「天下の面目をほどこし候」と第一級の賛辞を
光秀は貰ってますから、普通の人間なら有頂天になり自己を
見失ったりもするでしょうね。

つまり光秀は傲慢になっており「実現不可能な天下取りの妄
想」を抱き謀反を起こしたとも考えられると思ったのでした。

そして「野望説」と仮定した上でそこから光秀の限界を知る
事も可能では無いかと思ったのでした。

よく信長は「近世人」光秀は「中世人」の対比で語られる事
が多いのですが、その点で見るならやはり「朝廷や旧幕府の
権威を利用すれば自分でも天下を動かせる」と思ったからだ
と推測します。結局は織田家臣も上意である「朝廷の命」に
は従うと考えたのでしょう。しかし現実は朝廷の上意などは
抽象的な主体に過ぎず、織田家内部は「仇討ち」と言う現実
的な主体を目標に結束してしまったのです。そして各地の反
信長大名も所詮「自国の利害」と言う現実的な利害で行動し
ており「上意」などは名目に過ぎなかったのです。

しかし光秀はその辺の「生の戦国」を読みきれなかった。あ
くまで天下は「上意」によって動いていると思っていたので
しょう。これは京での政務によって己の出世を勝ち取った高
級官僚の光秀らしい感覚だと小生は考えます。

しかしそれは責められないでしょう。人間は職場や立場でし
か全体を認識することが出来ないわけですから。そして光秀
は朝廷と言うある意味「生の戦国とは隔絶された世界」に存
在していた「高級官僚」なのです。ですので高級官僚である
光秀の天下像が「朝廷の上意」によって出来上がってしまう
のはある意味致し方ないところだと思いますね。

また朝廷との交渉は光秀が仕切っていたわけですから「信長
がいなくても朝廷は動かせる」と光秀が妄想を抱いたとして
も不思議ではありません。

結局朝廷や幕府と言う「上意」を通してしか天下を把握でき
なかったのが高級官僚であった光秀の限界とも思えます。

この「現場感覚に欠ける」感覚は小生は石田光成にも感じる
のですが。これも現場との接点の無い「高級官僚」の感覚か
もしれませんね。


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