タイトル | : Re: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。 |
投稿日 | : 2004/05/30(Sun) 17:56 |
投稿者 | : ウィリー |
参照先 | : http://homepage3.nifty.com/minea/ |
> 英国海軍を除き、1930年代に仏独伊ソ等の欧州諸国の海軍に空母は本当に必要だったのでしょうか。何を当たり前のことをとおっしゃられるかもしれません。しかし、本当に必要だ、という理由を私には、すぐに思いつけません。
少なくとも、マタパン沖海戦当時のイアチーノ提督や
ビスマルク出撃時のリュッチエンス提督は空母があればと思ったでしょう。
本当に必要だという理由として、私にはそれで十分に見えます。
#フランス海軍に必要かどうかは謎です。
#空母以前にBf−109に勝てる戦闘機が必要だったでしょう。
#ソ連海軍にはあった方が良かったのは確かでしょう。
#黒海艦隊など水上艦はドイツ側を圧倒するほど優勢だったのに
#ドイツ空軍のために黒海の制海権を奪われ通しだったものです。
砲撃で空母が沈んだ事例が欧州海戦には確かにあります。
ただ、あのときには艦載機はなく、陸上機の輸送中に
攻撃を受けたのだというのが有力な説であるようです。
それでは「航空機輸送船」が沈められたのと変わりません。
ただ、まずは「空母無しでうまくやった戦い」を先に取り上げましょう。
チャンネルダッシュは空母なしで昼間に英仏海峡を通過してみせました。
このときにはドイツ空軍による戦闘機の傘のおかげで
イギリス沿岸航空隊もイギリス海軍航空隊もイギリス爆撃機軍団も
有効な攻撃をドイツ艦隊に加えることは出来ませんでした。
例によって初心者の味方早川NF文庫の一冊「高速戦艦脱出せよ」から
引っ張ってきますと、このときの上空直援機は常時16機、
交代時(全体の1/3)は32機であったようです。
そして、これだけの戦闘機で奇襲的な突破作戦には十分でした。
なるほど戦闘機の航続圏内にいれば空母は要らないようにもみえます。
が、それだけの支援機を用意するのに、ガーラントは
250機の戦闘機を動員したとも書いてあります。
おまけにこの上空支援のために予め演習も行ってあるのです。
つまり、常時16機の上空直援のために250機を待機させ
かつ、必要な予行演習を行っていなければ
切れ目のない護衛は出来ない、ということです。
では、代わりに空母で上空支援を行うとしたらどうか?
英仏海峡で艦載機を発艦させることが出来るのかという問題はありますが、
その問題がクリア出来れば搭載機60機強の中型空母一隻で同等の上空支援が得られます。
#搭載機の半分が戦闘機だとして計算してます。
どちらが効率が良いかはあきらかです。
艦隊の上空直援の訓練ならいつ、どこで、どんな海域で行うとしても
同じ訓練で済みますが、陸上機による切れ目のない支援であれば
実施する海域毎、それもおそらくは作戦毎に訓練をしなければ
十分な支援を受けることは不可能なのです。
つまり、この場合でも空母があった方が有利なのは確かです。
まして陸上機の航続圏外まで出る場合には空母がなければ
敵航空隊相手に何も出来ないのです。
#史実の結果を見る限りそういいきってかまわないでしょう。
さて、ここで空母保有の難点2つを考察してみましょう。
1)海軍航空隊を作れるか?
ドイツ海軍では、偵察用の艦載機ですら空軍所属でした。
が、ちゃんと艦載機は搭載していましたし、
艦長の命令で艦載機を運用することも出来ました。
「空軍所属:○○航空隊|基地:空母XX」と編成できれば
なにも海軍航空隊である必要はないのです。
2)不沈空母である陸上基地があるのに空母がいるのか?
陸上基地の航空隊は何も艦隊護衛ばかりが仕事ではありません。
一部を空母に差し出せば陸上基地が
自分の航空作戦に専念出来るということと、
全航空隊が、いつ海軍の作戦にかり出されるかわからない状況で
作戦を立てることと、どちらが空軍にとって都合がよいか、と考えれば、
空母部隊を海軍に適当に運用してもらうほうがむしろましです。
逆に海軍にしてみれば、来るかどうかわからない陸上機より
絶対にそこにいる空母の方が明らかに望ましいのです。
現にマタパン沖海戦の教訓からイタリア海軍は空母を保有する気になったものです。
マタパン沖海戦当時に空母があれば多分その方が良かったでしょう。