History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^10: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。
投稿日: 2004/06/09(Wed) 23:06
投稿者山家

 また、順次、考えて行きたいと思います。

> 理論的には陸上機で十分だったはずだったのです。ただ、現実には、空軍は海軍への支援に消極的であるばかりか、たとえ協力してくれたところでへまばかりだったのです。

 まず、この部分ですが、現実と構想と逆転しているのではないのでしょうか。構想では、海軍の航空支援は空軍が主として行うことで対処できるとされていたのです。現実と構想が食い違うことは多々あります。結果論からすれば間違っていたと指弾することはできますが、私としては、この空母の件については、欧州諸国の海軍を指弾できません。費用の観点から考えると、例えば、当時の構想として、独海軍は、ティルピッツよりも、グラーフ・ツェッペリンを優先すべきだったことが正しかったといえるでしょうか。

 次の艦上機の件ですが、史実でそうだったからといって、空母を建造し、艦上機を開発しても、史実と同程度の航空機のままでいるでしょうか。それに、空母は艦上機あってのものです。実験用空母だから小型で、艦上機も複葉機でいい、というのだったら、下手をすると水上機よりも劣る艦上機になり、何のために空母を建造・保有したのか、ということになります。水上機というと艦上機よりも性能が劣るというイメージがありますが、そう劣るものではありません。瑞雲はヘルダイバーや九九艦爆二二型とほぼ同程度の速力を誇りますし、仏海軍に至っては、艦上攻撃機は不要で、水上攻撃機で充分と考え、ベアルンから艦上攻撃機を下ろし、水上攻撃機を配備しようとしたくらいです。

> これは、十分に有力な海軍航空隊が大型陸上機と水上機を保有していたのであれば、という前提でしか成り立ちません。あるいは彩雲のような高速で航続距離の長い偵察機を海軍独自に運用できるのでなければなりません。
>
> まともな海軍航空隊とその海軍航空隊が使える飛行場を作るのに必要な費用と突破すべきお役所仕事の壁を考えると、まだしも空母作っていた方がましだったように思えます。どれほど使い道がなくても、飛行機運搬船としてなら使えるのですから、空母建造それ自体は空軍もあまり無碍にはしないでしょう。(日本陸軍だって空母を持っていたぐらいです。…飛行機運搬用に)

 そんな海軍航空隊を保有するよりも、空母を保有した方がいい、とのことですが、空軍との密接な協力というのは、そんなに絵空事なのでしょうか。空軍と海軍が密接に協力すれば、大型陸上機を海軍が保有することは不要です。現実がそうだったから、という反論がありそうですが、それなら、何故、空軍を各国は保有していたのでしょうか。航空兵力を有効に運用するのに、空軍を保有した方が有利なのは、史実の日本を見る限り、否定できない事実です。第一、空母を保有しても、海軍用の飛行場は、訓練等のためにやはり必要です。それから、日本陸軍の空母は上陸作戦後に、速やかに航空支援を行うのが主任務です。航空機運搬用というのは、少し誤解を招きかねない表現だと思います。

 次に、航空機の運用ですが、航空機の通信・運用には無電が必要不可欠です。例えば、敵偵察機を追い払おうとしたりするのに、戦闘機を母艦から誘導しないといけないのではないでしょうか。完全な無電封鎖をして、艦上機を運用するのは困難ではないでしょうか。

 それに、上記のように水上機だからといって軽んじることはできません。なお、偵察に1隻の水上艦から大量に運用するということは、少なくとも日本海軍は構想していませんでしたし、私も不利だと思います。何故なら、水上機は回収に手間隙が掛かるのです。ミッドウェー海戦等でも利根等の1隻の水上艦からは、2機しか偵察に発進させていません。それなら、何故、利根級が建造されたか、というと水爆を搭載するつもりだったのです。しかし、開発に失敗したため、搭載されませんでした。

 そして、航空巡洋艦ですが、航空戦艦と同様に中途半端な性能で、わざわざ建造する必要はないと思います。まだ、水上機母艦を建造した方がいいと思います。


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