History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^17: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。
投稿日: 2004/06/25(Fri) 23:30
投稿者山家

 ウィリーさまのおっしゃるとおり、かなり巨大なスレになっていますが、前回、ゲンガーさまに対するレスが事実上欠けてしまったので、こちらでのレスを失礼します。また、新しいウィリーさまのスレへのレスは、誠に申し訳ありませんが、調査や自分の考えをまとめるため、日をあらためて行わさせてください。

 これまで欧州諸国という形でまとめて考えてきましたが、ゲンガーさまの御意見を読み、国別であらためて考えたいと思います。

> まずイタリア海軍。これは空母はもつべきと考えます。イタリア海軍の第一の仮想敵は英地中海艦隊とクレタ・マルタ島の航空戦力ではないでしょうか。そして彼らの果たさなくてはならない使命は、北アフリカへのシーレーン確保だったと思います。それならば、輸送船団護衛のための航空戦力は必須で、それには空母(出来れば「週間カサブランカ」並みに大量に?)がベストの選択でしょう。

 伊海軍の第一の仮想敵は、192,30年代を通じて、仏海軍でした。少なくとも伊海軍は、英海軍に自分から戦争を仕掛けることは想定していませんでした。そして、仏海軍に対抗して、地中海の制海権を確保し、北アフリカへのシーレーンを確保する。そして、制空権は本土、シチリア、サルディニア、リビア等に展開する空軍で確保する、というのが基本構想です。そして、仏海軍はまともな空母を保有していません。つまり、仏海軍が空母戦力を強化しようとしない限り、伊海軍に空母の必要性はそう緊急のものではないのです。

> 次はフランス。仮想敵は何と言ってもドイツ、となれば海軍なんて無くても大勢に影響ない(言い過ぎかも?)ので、対独に限定すれば空母は不要でしょう。

 仏海軍は、北海、北大西洋の制海権は基本的に英海軍に任せ、自分の主力は伊海軍に向けての地中海の制海権確保が基本構想です。そして、こちらも地中海の制空権は本土、コルシカ、アルジェリア等に展開する空軍で確保して、という構想です。従って、伊海軍が空母戦力の強化を図らない限り(空母は建造して、すぐ戦力化できるものではありませんから、伊海軍の空母建造計画が分かった段階で、対抗すればよい。最もこれと同じことを伊海軍も考えていたわけですが)、自分も空母戦力を強化する必要はない、というのが、基本的な考えでした。なお、英海軍が攻めてきたら、どうするつもりだ、といわれそうですが、そのときは勇敢に戦い、善戦して死ぬまで、です。6割海軍でも敗北必至なのに、3割5分海軍で勝てるでしょうか。

> そしてソ連。これはかなり微妙だと感じます。対英ならば必要でしょうが、対独ならばフランスと同様不必要でしょう。黒海艦隊のことがありましたが、自国の領土をあそこまで侵略され、そこからの航空攻撃のため空母を持ちなさい、と言うのは酷な気がします。

 対英戦(北大西洋等の制海権確保)や対日戦(日本海や北太平洋の制海権確保)をソ連海軍が構想するのは、192,30年代の海軍力の圧倒的格差という現実から無理があるでしょう。対独戦、バルト海の制海権は重要ですし、黒海の制海権確保も重要ですし、それらなら可能でしょうが、共に空母がなくとも、空軍による制空権確保が可能である以上、制空権の確保については、その道を目指すべきでしょう。

> 最後にドイツ。先にあげた時間と金の制限の中では、空母より優先順位が高いのがUボートであることは間違いない(?)でしょう。

 これも否定できない現実だと思います。なお、空母1隻を通商破壊戦に投入するというのは、戦艦1隻よりも効率が悪いと思います。複数の正規空母を持った空母機動部隊を投入するというのなら話しは別ですが。例えば、グラーフ・ツェペリンを通商破壊戦に投入することを考えてみます。グラーフ・ツェッペリンの正確な搭載機数は諸説あるようですが、約40機です。この機数で索敵し、敵輸送船を攻撃して、更に自らの頭上を守る。どう計算してみても、敵輸送船の攻撃に1度に差し向けられる攻撃隊の規模は10機に足りませんし、上空を守れる戦闘機の数も10機未満です。これで、効果的な輸送船狩りができるでしょうか。それに英海軍は複数の空母をまとめてのハンターキラーによるグラーフ・ツェッペリン狩りを図るでしょう。何故なら1つ1つの輸送船団に空母を貼り付けるより、その方が効率がいいからです。更に、英潜水艦も独空母撃沈を目指すでしょう。もし、空母が単独航海しているのなら、潜水艦のイイカモです。駆逐艦で潜水艦に対処すればいい、とおっしゃられそうですが、独の駆逐艦の航続距離は日米英の平均以下で、長期の通商破壊作戦に随伴できるものではありません。 


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