History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^6: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。
投稿日: 2004/06/05(Sat) 22:09
投稿者山家

 どこに繋ぐか、本当に迷いましたが、ここに繋いでのまとめてのレスを失礼します。それから、別スレッドの話になりますが。にゃまさま、質問に対する回答は、調査と自分の考えをまとめるため、明日以降にさせていただきます。本当にすみません。心から反省し、お詫びいたします。

 まず、誤解を与えてしまったようで、本当にすみませんが、私の出題の意図は、1930年代の英国を除く欧州諸国の海軍が空母を優先して整備する必要があったのか、また、それによってWWUの帰趨は変わったのか、ということです。極端なことを言えば、短期的な問題なのです。私としては、史実の仏海軍のように試験的に空母を1隻建造し、運用方法を研究するのなら、ともかく、空母を主力としての海軍を整備するという方向を、当時の欧州諸国の海軍に求めるのは無理だし、それによって、史実がそう変わったとは思えない、また、それをしなかったといって、欧州諸国の海軍を非難はできない、ということなのです。

 まず、欧州諸国の海軍につき空母を整備しないことで、米英海軍にいいようにやられたという非難が、しばしば聞かれます。しかし、太平洋戦争勃発以前、日本海軍は空母の航空戦力では艦隊決戦時に米太平洋艦隊に有効な打撃を与えられないとして、空母の航空戦力よりも海軍の基地航空隊を重視して、漸減作戦の一翼をより担わせていましたし、マリアナ沖海戦のときには、基地航空隊を米艦隊撃滅の主な手段として考え、額面上では最も史実上充実していた空母戦力を誇る、いわゆる小沢機動艦隊を米艦隊撃滅の補助的な手段と考えていました。WWU後期の日本海軍でさえこう考えていたのですから、1930年代の欧州諸国の海軍が空母を主力と考えず、空母戦力を優先して整備しないのは、むしろ当然ではないでしょうか。

 それに日米海軍の艦上機に比較して、艦上機の質が劣る英海軍なのだから、欧州諸国の海軍が空母を1隻でも整備していれば云々、という非難もありますが、何故、史実より欧州諸国の海軍が空母戦力を充実させているのに、英海軍の空母に搭載された艦上機の質は、史実と同程度に留まるのでしょうか。英国の航空機開発能力は、4発重爆撃機等の英空軍機の能力から考える限り、米独と肩を並べ、日本を遥かに凌駕しています。史実では対抗する艦上機が欧州に無かったので、英海軍の艦上機はあの程度に留まり、それで充分だったのだと思います。

 空母を整備するのは、それによって制空権を確保し、また、敵艦隊を攻撃して、制海権を確保するためではないでしょうか。レイテ沖海戦以降の日本海軍は、空母を事実上保有していませんでしたが、それによって、制空権の確保や敵艦隊の攻撃を諦めたでしょうか。制空権を確保し、敵艦隊を攻撃する役目を、空母に搭載した航空戦力ではなく、空軍の航空戦力に担わせようという構想は間違っているでしょうか。私は、1930年代の欧州諸国の海軍は、そう考えていたし、それは決して間違っているとはいえない、と思うのです。私にしても、1930年代に航空攻撃の威力について、欧州諸国の海軍がそう軽視していた、とは考えていません。ぶっちゃけていうと、航空攻撃により損傷を受けるかもしれない、だから防空能力は充実させる必要はあるが、所詮、爆弾なので軍艦は沈むことは無い、最悪でも母港に帰ることはできる、と考えていたといいたいのです。

 それから、気になったのですが。空母は安いという誤解があるのではないでしょうか。米海軍の例ですが、同じ年度に計画・建造されたビッグセブンの1つであるコロラド級戦艦の建造費(のみ)が、約2700万ドル、レキシントン級空母の同じく建造費(のみ)が、約4420万ドルだそうです。それを思うと、空母は戦艦より高くつく代物(何しろ、更に搭載する航空隊を整備する必要がある)ではないでしょうか。

 少し長くなりましたし、考えもうまくまとまりません。とりあえずここまでにさせてください。


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