History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^7: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。
投稿日: 2004/06/06(Sun) 00:55
投稿者ウィリー
参照先http://homepage3.nifty.com/minea/

ちょっと逐次RESをつけてみようと思います。
何となく話がかみ合わない理由がわかったようにおもいますので。

>空母を主力としての海軍を整備するという方向を、当時の欧州諸国の海軍に求めるのは無理だし、それによって、史実がそう変わったとは思えない、また、それをしなかったといって、欧州諸国の海軍を非難はできない、ということなのです。

私は「空母を主力として海軍を整備する」ことを想定しているのではありません。
「空母とはどういうものか」ということを知るために
一隻か二隻空母を保有しておくべきだった、と言っているだけです。
つまり、ドイツ海軍はグラフ・ツェッペリンを完成させるべきであったし、
イタリア海軍はベアルンに対抗する空母ぐらいは保有しとくべきだった、
と言っているのです。

言い換えるなら、補助艦艇としての空母を保有すべきだといっているのであって、
主力艦として空母を整備すべきだとは思わないのです。

> 1930年代の欧州諸国の海軍が空母を主力と考えず、空母戦力を優先して整備しないのは、むしろ当然ではないでしょうか。

とりあえず一隻は作ってみないと本当はどうなのかはわからないのです。
実験用の空母さえ保有しないのは進取の風に欠けるのです。
空母とはなんぞや、という事を知るための空母建造は
優先して行われるべきだったのです。

>史実では対抗する艦上機が欧州に無かったので、英海軍の艦上機はあの程度に留まり、それで充分だったのだと思います。

申し訳ありませんが、これは意味のない言明でしょう。
強力な陸上機に対抗するためには、やはり強力な艦上機が必要です。
現にイギリス海軍もシーハリケーンだのマートレットだの
シーファイアだのを空母に搭載していましたが、
これは枢軸軍に空母が出来たからではなく陸上航空隊に対抗するためでした。
第一、一隻か二隻、それもたいした艦上機を積んでない空母相手に
史実より気合いを入れて艦上機を開発する理由があるのでしょうか?
私が想定している搭載機、戦闘機としてはフルマーよりまし
だけど爆撃機としても偵察機としても役立たず、程度でしかないのです。

それも、後世の目から見ての話で、イギリス海軍の考えを言えば
フルマーの方が負けてるとも思わなかったでしょう。
本職の空軍でさえデファイアントがBf-109E相手に戦えると
本気で思っていたぐらいなのですから。

>  空母を整備するのは、それによって制空権を確保し、また、敵艦隊を攻撃して、制海権を確保するためではないでしょうか。

欧州海軍にとって、空母の存在意義は索敵機を飛ばすことと
戦闘機を使って敵の雷撃機を追い払うことの二つです。
いや、1941年時点ですら、制空権と制海権を両方確保する
機動部隊なんて南雲艦隊しか存在してませんでした。
まして1930年代の欧州海軍がそういう機動部隊を編成することを
想定するのはSFの世界の話でしょう。

>  それから、気になったのですが。空母は安いという誤解があるのではないでしょうか。米海軍の例ですが、同じ年度に計画・建造されたビッグセブンの1つであるコロラド級戦艦の建造費(のみ)が、約2700万ドル、レキシントン級空母の同じく建造費(のみ)が、約4420万ドルだそうです。それを思うと、空母は戦艦より高くつく代物(何しろ、更に搭載する航空隊を整備する必要がある)ではないでしょうか。

戦艦は今までの蓄積があって建造できます。
空母は手探りで建造しなければなりません。
開発費に格段の差がつきます、それが建造費にも跳ね返ります。
だからこそ、逆に、一隻ぐらいは研究用に作っておく必要がありました。

実戦で必要だとわかった後で泥縄式に作るのは難しいのです。
そして、史実では結局出来なかったのです。

−−−

逆説的ですが航空機が史実通りの戦果を挙げうる存在として
30年代の各国軍人に認識されていたとするならば
陸上機の強化を主にすることが出来たでしょう。
あくまで勝負は水上艦同士のたたき合いで決着する、
と考えるのなら、水上艦の戦いをどのように支援するか、
という観点から航空隊も整備しなければなりません。

だから、空母がいるのです。その逆ではなく。

#この辺りの事情はグレンフェル大佐の「主力艦隊シンガポールへ」に
#書いてあるとおりだと思います。


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