タイトル | : Re^3: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。 |
投稿日 | : 2004/06/02(Wed) 00:14 |
投稿者 | : 風間祐一 |
山家さん、こんばんわ。
なんだか、「空母不要」をテーマに後方の軍官僚が作文したみたいです(笑)。
なにかを要らないと思って、その理由を探せばいくらでも出てくるものです。
山家さんの論旨をまとめると次の5点になると思います。
1.陸上機での代替
2.航空攻撃の力不足
3.空母入手の困難
4.空母運用の困難
5.空母の脆弱さ
まず3は不要の理由になりません。絶対的に国力が不足していて無い袖が振れないというのでない限り、入手の困難は克服可能です。
初期導入時の困難さを理由に必要不要を判断すれば、戦艦や潜水艦だって初期導入時には大変な困難があるのですから、どんなものだって不要ということになってしまいます。
ここで、費用対効果についても触れますと、山家さんは多分、費用対効果に関しては、第2次大戦にグラーフツェッペリンやベアルン、アキーラと言った計画されていた空母がもし参加したとして建造費に見合った活躍をしたかどうかで考えていると思います。しかしそういう考え方は意味がありません。最初の1隻だけで優れた費用対効果を発揮する新兵器なんてありません。数を揃え、運用を工夫することによって費用対効果は上げていくものなのです。日本海軍を例にとれば、鳳翔1隻で費用対効果を論じて空母の必要不要の判断材料にされますか?
4の運用の困難というのは、主に海軍と空軍の指揮権についてなのですが、これにいたっては所詮決め事に過ぎません。端的に言い切ってしまえば、決断一つの問題です。
2の航空攻撃の力不足は明らかに間違いです。確かに沈没艦は少ないですが、両軍とも航空攻撃で多数の損傷艦を出しています。
5の空母の脆弱さは山家さんがおっしゃるとおりですが、空母が不可欠だった太平洋での戦いにおいても、それは変わらないのですから、だから不要と言い切るには弱いと思います。
ということで、空母の要不要を決めるのは、1の陸上機で空母の代わりが務まるかが最大、というか唯一の、要件と言えます。
実戦の結果を見ると各国ともこれに失敗したと言い切ってよいと思います。一部での成功例はありますが、全体的に見ればイギリス空母の活躍に比べて陸上機の艦隊支援は成功したとは言えません。
このように検討してみると、空母が不要な理由は存在しないのです。
実のところそんなことは当たり前で、洋上航空兵力が役に立つ以上、空母は必要に決まっているのです。
> 空母は無いより有った方がいい、というのは、私も否定しません。
これが全てなのです。
というのは、前線で戦う提督の視点です。
後方の官僚や政治家の視点では、主に予算の制約から優先順位をつけなくてはならず、その際に山家さんが挙げるような理由で後回しにされるのです。しかし、それは不要というのとはまた違う気がします。
以上です。