タイトル | : Re^4: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。 |
投稿日 | : 2004/06/03(Thu) 23:04 |
投稿者 | : 山家 |
こちらでのまとめてのレスを失礼します。
前線で戦うのに、空母があったほうがいい、というのは事実です。しかし、費用対効果の点で、空母の整備の方が空軍力を拡充させるより効果的なのか、きちんと考えるべきだ、と思うのです。話をずらし、ゴミ話しをしますが、超甲巡について、あるのとないのとだったら、ある方がいい、のは間違いありません。しかし、超甲巡を造るのだったら、他の軍艦を造った方がいいのです。そうした視点で考えてみたら、どうなのだろう、と思うのです。
空軍機を空母に積む、ということから考えてみます。先日、伊海軍がVSTOL空母を導入しましたが、その際、1923年制定の空軍法を改正することが議論になり、雑誌記事になっていた覚えがあります。空軍法では、水上機しか固定翼機を保有できないことになっており、空母を導入し、固定翼機を運用することは、空軍法に抵触したそうです。WWU以前、伊海軍は空母の建造を検討しましたが、空軍法の存在が壁になった、とも記事の中で触れていました。
それから、空軍機を空母に積むのは多種多様な問題を引き起こします。まず、空軍は空母で運用する軍用機を本当に優先して開発・整備してくれるでしょうか。また、空母で運用するために、搭乗員や整備士を転属させる必要がありますが、優秀な人材を空軍は海軍に派遣するでしょうか。そうした問題点を考えると、海軍独自の航空隊を海軍が保有して空母に配備した方が、空軍機を空母に配備するよりも、ベターではないでしょうか。
次に、風間さまがうまく要約して下さったので、それに従って考えて行きます。
> 1.陸上機での代替
> 2.航空攻撃の力不足
> 3.空母入手の困難
> 4.空母運用の困難
> 5.空母の脆弱さ
まず、3,4をまとめて考えますが、ワシントン条約体制の中では、仏伊が認められていた空母のトン数は、英米日よりはるかに劣っており、独に至っては空母の保有すら認められていませんでした。そうした前提で考えるならば、仏伊にしてみれば、1隻試験的に建造・運用するのなら、ともかく、制限された空母(とその艦載機)を優先して整備する必然性があるでしょうか。それくらいなら、制限の無い空軍をより充実させることで、制空権の確保を図る方が、より費用対効果の面でより効果的だ、と考えたのですが、いかがでしょうか。条約により、そもそも空母の数の揃えようが無いのです。
次に1,2を考えますが、航空攻撃の威力についてですが、後から言えば、確かに大きなものがありました。しかし、1930年代にそこまで大きな威力があると考えられていたのか、と思うのです。先に書きましたが、当時、陸上機で、対艦攻撃を第一に考慮して開発・整備されたのは、日本海軍の陸上攻撃機くらいです。その当時、航空機の対艦攻撃が効果的と認識されていたのなら、もう少し、対艦攻撃を優先して開発・整備された陸上機があった、と考えるのですが。1についても、チャンネル・ダッシュのように陸上機の航空支援が効果的だった事例もあります。史実でも、全く役に立たなかったわけではありません。私としては、当時、航空攻撃の威力を欧州諸国の海軍は重大視していなかったし、当時の認識からすると、それは誤っていたとはいえないと思うのです。
5については、同じことの繰り返しになるので、手短にしますが、空母の戦力整備よりも、陸上基地の航空機整備の方が戦闘の際の抗戦継続によいと思うということです。
確かに、不要というのは言いすぎですが、空母の整備を1930年代の欧州諸国の海軍が後回しにしたのは、決して誤った考えとはいえないと思います。