History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^15: 欧州諸国の海軍に空母は必要か。
投稿日: 2004/06/17(Thu) 20:46
投稿者ウィリー
参照先http://homepage3.nifty.com/minea/

RESの遅さでは私の方がひどいような気がします。

では、続けましょう。

>  私としては、当初は、欧州諸国の海軍がどのようなドクトリンを採用して、軍備を整備すべきだったのかを考えて、そのうえで、空母の必要性を考えるべきだ、と思っていたのですが、ウィリーさまが、全て結果で考えるべきだ、とおっしゃるので、それでスレッドの前提を変更することにしました。

どう返事するべきなのかよくわかりません。
私の説明がよほどまずいのだろうと思っておくことにします。

私は理論的可能性ではなく史実の結果から有用性を判定すべきだとしたのです。

理論的可能性なら何でも言えます。
結果が出せない理論的可能性に価値を認めない訳でもありませんが、
史実から何一つ有利な結果が持ち出せない理論なら
「理屈倒れの愚論」と片づけて問題ないでしょう。

#ミサイルは絶対命中するから機関砲は要らない。
#高速で一撃離脱を掛けるから後部視界は要らない。
#理論上はそうなるはずだったのです。
#では、その理論に有利な史実を持ち出せますか?
#持ち出せないとすればその理論にいかなる評価を下しますか?
#私は空母無用論に同じ視点から結論を下すのです。

>  ソ連海軍はともかく、イタリア海軍の情けない戦いぶりを詳細に教えていただけないでしょうか。

イタリア海軍。戦意は決して低くないのです。
が、根本からドクトリンを間違えていては戦いようがありません。

何がどう間違っているのか。
「夜戦は不可能であるから想定しなくてよい」
実際には水上艦は夜間にこそ戦うべきであったのに
夜戦訓練を放棄していたのでは戦いようがありません。

#現に夜間攻撃主体のMASの勇戦ぶりは有名です。

結果、昼間の砲撃戦で優勢であっても、日没と共に
戦闘を放棄して待避せざるをえなくなる。
しかし、日中優勢に戦ったならば、
夜に水雷戦隊で追い打ちを掛けるのが有利であることは
日本海海戦以来明らかです。
なんでそういう発想が浮かんでこなかったのか。

日本海軍との比較について言うなら、
確かに地中海でまるきり負け通し、という訳ではありません。
しかし、ソロモンでの海戦のように、
終始一貫して制空権を失い通し、でもなかったのです。

制空権即制海権。これが二次大戦での動かしがたい現実です。
制空権のない状況下で4分に戦えれば勇戦したと評価します。
空で5分5分なのに4分なら批判されて当然です。

−−−−

こういう事は言いたくないのですが、
ドクトリン>軍備計画、です。
山家さんの場合、元々ドクトリンとして「海軍は制海権確保のためのみに存在する」
を、当然の事としているようです。

そして、制海権を確保するためには、相手より強力な海軍が必要です。
が、「安上がりで強力な海軍」を編成するお手軽なやり方は存在しないのです。
注ぎ込んだ予算の分だけの戦力しか海軍は持てません。
相手がイギリス海軍であるなら、イギリス海軍以上の〜
〜正確には、イギリス海軍がその海域に投入可能な戦力を編成するのに
必要な予算以上の予算を〜注ぎ込まなければ
イギリス海軍相手に制海権を確保するわけに行かないのです。
それなのに史実通りの予算という制限を加えれば
〜英国海軍が欧州海域に主力を投入出来ることから考えて〜
局地的にでさえ制海権など手に入りません。
これは空母の有無とは関係ない話です。
それでは作るべきであったという結論も出ないのですが、
作るべきではなかったという結論にもなりません。

正しい結論は「空母も作れないような予算しか割り当てられないなら海軍全体が制海権確保の役に立たない」なのです。
制海権を〜たとえ沿岸だけであっても〜手に入れるためには
制空権が必要なのですが、そのためにはまともな海軍航空隊か
海空軍の密接な協力が必要不可欠です。

#もちろん、航空機のみで制海権を確保するなら話は全く別です。
#が、今は海軍の話をしているのです。

空母搭載機は「まともな海軍航空隊」であるか「海空軍の密接な協力の結果」であるか、
どちらかであることは確かです。
では陸上機に同じ事が期待できるか?

繰り返しになりますが、世界中どこの国でもそんな期待は裏切られた。
空母が必要である理由として私にはそれで十分であると思われます。

全くの余談ですが、
ティルピッツは北洋船団相手に「脅威」ではありました。
が、グラフ・ツェッペリンなら「戦果」を挙げ得たでしょう。

なるほど、これはただの理論です。
では次のように考えてみましょう。
ティルピッツに対抗するにはすべての船団に「戦艦」が必要ですが
グラフ・ツェッペリンに対抗するにはすべての船団に「空母」が必要です。
どちらが米英海軍に不足していたか、どちらがより
攻撃に対して脆弱であるか、これらを考慮に入れるならば
グラフ・ツェッペリンの方が役に立ちます。

−−−−

理論的可能性ならいくらでも言えるのです。
最低限、史実から有利な要素を一つでも持ち出せるのでなければ
それが正しいとするには足りないではありませんか。


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