History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^8: 1940のフランス軍の戦略構想
投稿日: 2005/01/27(Thu) 21:53
投稿者山家

> 私の考えでは、長期消耗での勝利ということであるのなら、一応1941、42年時点での、相手国独の戦力見積もりと、その時点の自国の戦力見積もり程度は比較検討し、それに沿った計画、というのを参謀本部レベルで考えておくのが宣戦布告前にやっておくべきではと考えるのですが、いかがでしょうか。一応日本でも、1942年時、43年時の米国との生産力と戦力比較はおこなって、それであの計画ができているはずです。(どうみても実現できそうにないのはさておき)
> そういった視点より仏を見ていくと、ラフなプランでもいいですから、長期戦に対する具体的な検討、ということをしていた事があるのでしょうか。
> 別に仏を非難するわけではありませんが、その程度ももしやっていないのならば、(この点が私の知りたく、また、調べのおよんでいないところなので、もしやっていた、という事実があるならすみません)
> 国の命運をかける宣戦という行為の前に、あまりにも軽率である、と感じてしまうのですが。

 正直に言います。少なくとも当時の一般人知識レベルだけで、独が英仏との長期戦に耐えきることは不可能なのは自明の理でした。それを仏政府上層部が詳細に調べなかったのは軽率だ、というのなら、1941年時点で、日本が米国との戦争には敗北必至なのに、開戦に踏み切った日本政府上層部の方が遥かに軽率です。

> 次ぎに、経済、という点ですが、確かにこの点私の調べ不足の点不明をはじるばかりです。一応、一般的な反証をしてみたいと思います。独の戦時経済という点から見ていきたいと思います。まず、独が戦争を継続してにあたって輸入が絶対的に前提となる物資は、まず石油でしょう。これは主要な供給国は内陸国のルーマニアであり、その後の独ソ戦のあれほどの規模の戦力をその供給源のみでささえきったことを考えますと、機動距離の短縮される対仏戦ということであれば、ある程度長期も支えうるのでは?

 少しでも資料を調査して下さい。1942年時点で、ルーマニアの油田から算出される原油で賄われた独の必要な石油量は、精々3分の1に過ぎません。石炭液化技術やルーマニア以外の(仏国内を含めた)油田や油母頁岩から産出される血の滲み出るような努力でかき集めて精製された石油で、独は戦争を遂行したのです。

 石炭は自国で産出できますし、鉄鉱石はそれを見越してあの時点ではノルウェーを制圧してますのでバルト海経由で確保できるものと思います。ニッケル・チタン等のレアメタルはソの供給に頼らなければなりませんが、バターするにも技術供与等の手段も考えられるとも感じます。また、いずれにしても、大戦中、独はほとんど輸入できない状態で戦時経済は年次成長を続けており、(この点仏等の占領地生産力・労働力をえたからだ、という事はありましようが、仏を占領したからといって輸入ができたわけではありません。あくまで対封鎖・原料輸入の視点からです)少なくとも経済的衰弱が自明、という点はどうか、と思うのですがどうでしょうか。

 WWU中、独が行った占領地からの膨大な資源の収奪と労働力の強制徴収があったからこそ、独は戦争を遂行し続けることができたのです。輸入して代金を支払う等する代わりに、軍事力で占領し、無料で略奪を行う、これ無くして、独の戦時経済が成長することはできませんでした。対ポーランド戦が終結した時点で、仏蘭白、北欧諸国、ユーゴスラビア等は独立国で、まだ独に占領されていません。当時の仏政府や軍上層部が、戦争が長期化すれば、独の経済的衰弱は自明のことであると理解して継戦するのは、当然のことです。


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