History Quest「戦史会議室」
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タイトル Re^9: 1940のフランス軍の戦略構想
投稿日: 2005/01/28(Fri) 23:08
投稿者山家

 どちらに繋ぐか、迷いましたが、自らの意見の補足なので、ここに繋ぎます。

 昨日の書込みの際に、経済封鎖によって確保できる物資の質の低下の問題を書き落としていました。戦争遂行に際し、物資の量の確保も勿論重要ですが、物資の質の確保も、また重要な問題です。

 例えば、ガソリンです。ガソリンはハイオクタンの方が燃料として効率が良くなります。WWU期において、文句無しに世界最高のハイオクガソリンと衆目が一致していたのは、米国製でした。米国の原油は良質のガソリンを含み、更に米国の石油精製技術は100オクタン価のガソリンを実用化し、民間市場にまで供給していました。しかし、他の国では、それは極めて困難でした。例えば、独では、これに対処するためにいろいろと工夫しますが、石炭液化技術により生成される石油から製造するガソリンはオクタン価が極めて低かったことや、石油精製技術において米国にやや後れを取っていたことも相俟って、結局はWWU中、80オクタン台価のガソリンを軍隊でも使用する羽目になりました。これに対処するために、添加物によってオクタン価の差を埋めようとしますが、これは諸刃の剣となり、ハイオクタンガソリンを使用した場合と比較して、ガソリンエンジンを傷めて、ガソリンエンジンの耐用時間の低下を招くことになりました。

 英仏連合は、その気になれば、南北米両大陸からも、オセアニアからも、アジア・アフリカ大陸からも良質の物資を調達できます。しかし、英仏連合によって経済封鎖された独伊枢軸には、例え粗悪であっても我慢して、自らの影響下にある欧州内部からしか物資を調達できないのです。このような調達できる物資の質の差も、戦争遂行に際して、決して軽視できないことではないでしょうか。


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